全国の学校で教員が生徒に暴力や暴言を行った事案が相次いで発覚している。大阪市では担任教諭が授業中に居眠りをしていた生徒に暴力をふるい、逮捕された。山口県では部活動中の教師の暴力や、髪をバリカンで刈り上げるなどの事案が発生している。東京都では部活動中の教師の暴力が明らかになり、停職処分が発令された。北海道では体罰事案の調査の際に教頭が体罰の被害を訴えた生徒の実名を体罰を行った教師に伝え、その後その教師が生徒を蹴るようなそぶりを行うなどするといった事案が報道されている。その他島根県では教諭が生徒をヒトラー呼ばわりする暴言を吐く事案があったことが報道されている。


大阪市立中、教員が生徒に暴力で逮捕か
 大阪市教育委員会によると、大阪市立此花中学校の教諭が自身が担任する男子生徒に暴力を振るい、怪我をさせた容疑で逮捕されたという。大阪府警此花警察署は、本紙の取材に対し、「記者クラブに加盟していないメディアの取材には応じられない」として回答しなかった。

 大阪市教育委員会によると、先月8日11時半頃、同教諭は授業中に居眠りをしていた男子生徒に対して、頬を平手打ちしたり、胸ぐらをつかんで体を揺さぶるなどの暴力行為に及んだといい、男子生徒は首に全治11日の怪我を負ったという。

 また、市教委の担当者はこの教諭が過去にも2回生徒への体罰行為を理由に懲戒処分を受けていることを明らかにしたうえで、今回教諭が再び生徒への体罰行為を行ったことについて「処分と同時に再発防止研修を行い、本人の反省が見られるということで業務に復帰しているわけだが、そのような中で再度体罰事案を起こしたという点に関しては非常に残念、遺憾。」と話している。

下関市立高、剣道部顧問教諭が暴力・暴言
 下関市立下関商業高校では20年にわたり剣道部の顧問を務めている男性教諭(60)が剣道部部員の生徒らに対して常習的に暴力・暴言を加えていたことが発覚した。下関市教育委員会によると、男性教諭は2017年4月から剣道部の部活動中に部員の生徒が指示に従えない場合やうまくできない場合などに太鼓のバチや竹刀で叩くといった行為を複数回行っていたほか、剣道部部員の生徒に対して「バカ」「アホ」といった暴言を日常的に行っていたという。

 一連の体罰は、昨年10月中旬、剣道部部員で男性教諭から暴力を受けた生徒から訴えがあり、学校が生徒や他の部員、男性教諭本人から聴取する中で発覚したという。

 市教委によると、男性教諭は調査に対し、体罰の事実を概ね認めた上で「なかなか自分の部活の運営がうまくいかない。」「あってはいけないことで申し訳ない。」などと話しているという。

 今回の体罰を受け、市教委は男性教諭を文書で訓告したほか、剣道部の顧問からは外したという。市教委の担当者は「非常に遺憾に思う」として、校長らに対し「先生たちに心に響くような指導をして欲しい」と話している。

山口県立高、生徒の髪をバリカンで丸刈りに
 山口県立下松工業高校では昨年10月末、40代の男性教諭が生徒の髪の毛をバリカンで丸刈りにする行為を行い、今年2月26日に生徒や保護者から同教諭の懲戒免職を求める嘆願書が山口県教育委員会に提出されていたことが明らかになった。

 同校の高橋等校長は、本紙の取材に対し、教諭が生徒の髪の毛を丸刈りにしたことを認めた上で、生徒の父親から「学校の方で髪を切ってくれ」という申し出があったことを明らかにし、生徒を無理やり丸刈りにするというような報告は受けていないと説明した。

 また、高橋校長は同教諭から生徒の髪を丸刈りにしたことなどについて発生後直ちに報告を受けておらず、昨年12月に内容を把握したという。その後も教諭が生徒の髪を丸刈りにしたことについては保護者の了解を得ていたという経緯から体罰とは認定せず、嘆願書が提出されるまで県の教育委員会に報告しなかったという。

 高橋校長によると、同教諭は以前から生徒に対して「ボケ」「アホ」「バカ」などの暴言を行っており、丸刈りにした生徒に対しても「病院に行け」というニュアンスの発言をしていたという。

 県教委は同教諭が生徒の髪を丸刈りにしたことについては「事象としては事実」と認めたものの、詳細は事実関係を調査しているとして回答しなかった。県教委は現在も生徒から聴取するなど調査を続けている。

東京都立高、バレー部顧問が生徒に生徒を殴らせる
 東京都教育委員会は、多摩地区の都立高校でバレーボール部員の複数の男子生徒に対して合計4件7回の体罰を行い、校長に速やかに報告しなかったとして、先月26日付で同校の男性主幹教諭(58)を停職3ヶ月の処分にしたことを発表した。また、同じく先月26日付で多摩地域の市立小学校で女性主任教諭(59)が同校小学4年生の児童に体罰を行ったとして、戒告処分にしたことを発表した。

 都教委の発表によると、男性主幹教諭は、2018年8月17日から同年9月24日までの間に生徒の顔に向かって4回バレーボールを投げ、生徒の顔面に4回当てるなどしたほか、ノートを生徒の顔面に当てたり、生徒に生徒の頬を叩かせるなどの体罰を合計4件7回にわたり行ったという。また、女性主任教諭は昨年10月24日午前11時頃、勤務校の小学4年生児童に対し、右手で児童の左頬から首の部分を叩いたという。

 都教委人事部職員課の鈴木隆也任用担当課長は本紙の取材に対し、男性主幹教諭が生徒に生徒の頬を叩かせたことについて「理解できない」としていた。

論評 「体罰」はれっきとした暴力犯罪だ 生徒への管理と支配をやめよ 
 「体罰」が止まらない。毎月必ずどこかの学校で発覚する。これは法治国家として由々しき事態だ。そもそも「体罰」は明確に違法である。刑法の暴行罪・傷害罪に該当する犯罪であり、学校教育法第11条で明確に禁止されている。つまりどう理屈をこねようとも、体罰は紛れもない違法な暴力であり、犯罪なのだ。これを未だに根絶できないのは正直「法治国家」と言えるのか。学校も教員も教育委員会もコンプライアンス意識に非常に欠けている。彼らは大学で一体何を勉強したのだろうか。学校教育法すら守れない教員は現場から速やかに追放するべきである。

 さて、そもそも「教育」や「躾」の名の下にこういった暴力犯罪に手を染め、容認する教員や学校側の意識自体に大いに問題がある。生徒たちに軍隊のような集団行動を強要し、暴力や威圧を用いて恐怖政治で管理・支配しようという考えは本質的に間違っている。こういうのは「教育」ではなく「調教」だ。個人を尊重せず、集団行動を強要する「調教」は、画一的な社畜を大量生産し、ブラック企業に隷従させられ過労死していく若者や、集団行動に適応できずに不登校になる者を生むだけである。生徒が苦痛を感じることを強いることが本当に「学び」と言えるのだろうか。

 この少子化の時代、不登校になる児童生徒は増え続けている。それは教員が暴力や威圧的な態度で生徒を管理・支配したり、規律や道徳とか称して生徒の個性を圧殺し、画一的な「お上に素直な」生徒を量産するという時代錯誤の反人権的行為を未だに続けているからではないのか。

 現代の学校教育現場では未だに教員が一国一城の主が如く担任席に踏ん反り返り、生徒たちを恐怖で管理・支配している。このような状況はもう変えなければならない。

 日本国憲法や子どもの権利条約では子どもたちの人権を明確に保障している。にもかかわらず子どもたちが抑圧された環境を強いられているのは憲法違反・条約違反であり、許されないことだ。教員と生徒の関係をよりフラットな形に改め、教員による恐怖政治を今すぐやめよ。

(取材・文=平松けんじ・本紙編集長)