都庁第一本庁舎 平松
東京都教育委員会が入る東京都庁第一本庁舎(東京都新宿区・28日)【撮影=平松けんじ】

 高校紛争が続いている東京都立新宿山吹高校で、自治委員会議長兼会長の生徒と東京都教育委員会主任指導主事が今月20日に会談したこと可能性が高いことがわかった。

  新宿山吹高校の梶山隆校長は本紙の取材に対し、「答えられません。個人に関わることなので。」と会談の有無について回答を拒否した。また、東京都教育委員会主任指導主事は本紙の電話に出なかった。

協議は約30分 自治委員会側から経緯や要求を説明か
 自治委員会議長兼会長の生徒によると、今回の会談は9時40分頃から約30分程度行われ、自治委員会側より高校紛争の経緯説明や、学校側・都教委への要求について説明を行ったという。

  また、本紙が独自に入手した会談用の内部資料によると、冒頭、自治委員会側より会談の目的について「私たち自治委員会は新宿山吹高校における学校当局との和平を速やかに成立させ、私たち自治委員会が要求している事項について認めていただくため」という説明が行われたという。その後、自治委員会側が一連の高校紛争についての経緯、現状、争点に関する説明を行い、最後に学校側と都教委に対する要求を伝えたという。

紛争の現状
 自治委員会議長兼会長の生徒は説明の中で、紛争の現状について、2019年に入って以来、学校側が自治委員会との団体交渉を拒絶している姿勢を見せていることを示し、また自治委員会が校内で活動をすることを妨害しているという説明を行ったという。自治委員会側は「このような状況が継続することが自治委員会としても生徒にとっても好ましい状況であるとは考えていません。」と説明しつつも、学校側が団体交渉に応じず活動を妨害し続ける場合はメディアへの発信をより強化する等の対抗手段を取らざるを得ないとしている。

自治委活動は「政治的教養だから尊重されなければならない」
 自治委員会議長兼会長の生徒は説明の中で、紛争の経緯について「そもそもは2017年6月に私が編集長を務めております、ニュースブログ『YAMABUKI JOURNAL ONLINE』の記事について学校当局が一方的に削除を要求してきたことに始まります」と指摘し、2017年6月以降現在までの紛争の経過について自治委員会としての説明を行ったという。その後、自治委員会側は紛争の争点として次の3点を指摘したという。

自治委員会が指摘した紛争の争点

①自治委員会議長兼会長自身に対する学校側の「指導」について「暴力的な人権侵害行為は『指導』の範囲を大きく逸脱し、憲法や刑法に抵触する可能性がある行為」だと指摘。

②自治委員会の活動について「特定の党派を支持するよう求める等のいわゆる政治活動ではなく、純粋に校内における生徒の自由と人権を守り、学校生活を改善する自治活動であり、生徒の自主的活動」と定義し、同活動が教育基本法第14条に定める「良識ある公民として必要な政治的教養」に当たる活動であるから学校側は自治委員会を尊重しなければならないと指摘。

③学校側が未だに団体交渉を拒否したり、文書の受け取りを拒否しているとして、学校側に自治委員会と対話する姿勢が欠如していると指摘。
(自治委員会内部文書「新宿山吹高校自治委員会対東京都教育委員会会談資料」を参考に本紙作成)

 今回の会談では学校側関係者が同席しなかったため、学校側からの反論などは行われず、自治委員会議長兼会長の生徒が淡々と説明をしたという。

自治委員会は都教委に合計9項目を要求
 今回の会談で自治委員会は都教委主任指導主事に対して学校側と都教委それぞれに対して合計9項目の要求を行ったという。自治委員会の内部文書によると、要求事項は次のようなものだったという。

学校側への要求
①今後校内での言論・表現活動が弾圧されないよう、また自治委員会議長兼会長個人に対して行われたような人権侵害行為が他の生徒に対しても二度と行われないよう、今回学校側が自治委員会議長兼会長に対して行った人権侵害行為全てについて、梶山校長が非を認め、書面、ホームページ上、伝言システムを通じて公開の場で謝罪し、再発防止を約束すること

②学校内における言論・表現・集会・結社の自由を保障すること、そして自治委員会やYAMABUKI JOURNALのような生徒の自主活動については教育基本法第14条「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」という規定に基づき、自由に活動を行うことを保障すること

③学校運営を民主化し、生徒の民意を反映し、生徒を学校運営に参画させる制度

④入試における当日の試験点と内申点の比率を20 : 3に戻すこと
(自治委員会内部文書「新宿山吹高校自治委員会対東京都教育委員会会談資料」を参考に本紙作成)
東京都教育委員会への要求
①学校当局に対し、自治委員会と粘り強く対話し、団体交渉を行うよう指導すること

②これまで学校当局が行った人権侵害について、学校当局に書面、ホームページ上、伝言システムで全校生徒に公開する形で謝罪し、再発防止を確約するよう指導すること

③学校当局の行った人権侵害行為について事実関係を認め、都教委の管理監督責任を認めて謝罪し、人権侵害行為を行った教職員について懲戒処分や再発防止研修に処すこと

④都教委として、教育基本法第14条に定める「政治的教養を尊重する」観点から、校内の生徒の自主活動の自由、言論・表現の自由を公式的に認め、これを都立学校全てに周知徹底すること

⑤新宿山吹高校の特色を鑑み、不登校児に不利にならないよう、当日の試験点と内申点の比率を20 : 3に戻し、各学校毎に特色ある入試を行うことができるようにすること
(自治委員会内部文書「新宿山吹高校自治委員会対東京都教育委員会会談資料」を参考に本紙作成)

都教委、全く関係ない話に終始 自治委は正式に抗議
 本紙が入手した会談の録音音声によると、東京都教育委員会主任指導主事は自治委員会の要求や指摘に対して全く回答せず、ただただ自身の中学生時代の内申点の話や創立当時の新宿山吹高校に関する話題など論点と無関係のことを発言するばかりだったという。

 これらの都教委の対応を受けて自治委員会は、28日午後、議長兼会長が東京都庁第一本庁舎38階・東京都教育庁指導部を訪問し、主任指導主事に対して直接抗議文を手渡して正式に抗議した。自治委員会は抗議文の中で、20日の主任指導主事の対応について「(学校側と自治委員会の間の)問題解決をいたずらに遅延させる行為」として厳しく糾弾し、主任指導主事に対して改めて直接会談して自治委員会の主張や要求に対して答弁するよう要求している。

(取材・文=本紙編集長・平松けんじ)