昨年10月、山口県立下松工業高校で同校の教諭が自身が担任している1年生の男子生徒の髪を丸刈りにしたり、暴言を吐いたりしていた問題で、山口県教育委員会が同教諭を減給1ヶ月の処分にしていたことがわかった。18日、山口県教委教職員課学校管理班の担当者が本紙の取材に答えた。


保護者の了解を得て丸刈り
 山口県教委によると、昨年10月、県立下松工業高校で行われる頭髪検査当日、男性教諭が自身が担任している1年生の男子生徒の髪が検査に抵触する可能性が高いとして、保護者の同意を得た上で男子生徒の髪を丸刈りにしたという。

 男性教諭は、検査当日の午前中に男子生徒の保護者に連絡し、「髪を担任の方で切ってもよいか」と確認したという。保護者がこれに同意し、男子生徒も丸刈りについて了承したため、男性教諭は男子生徒の髪を丸刈りにしたという。

 このほか、男性教諭は以前から生徒に対して「ボケ」「アホ」「バカ」などの暴言を行っており、髪を丸刈りにされた男子生徒に対しても「病院へ行け」という趣旨の暴言を吐いていたという。

 県教委によると、男性教諭は生徒に対して学校の規則や決まりごとを守るよう、徹底的な指導を行っていたといい、その指導の場面で生徒に配慮が欠けた発言をしていたという。県教委の担当者は男性教諭の発言を「子どものことを傷つけるひどい発言」としており、男性教諭の処分を決める際にも、判断材料の一つとしたことを明かした。

学校側は県教委に即時報告せず
  今回、男性教諭が生徒に不適切な言動を行ったり、生徒を丸刈りにしたりした件を、高橋等校長(当時)は昨年12月上旬に把握していたにもかかわらず、県教委に男性教諭の懲戒免職を求める嘆願書が提出されるまでの間、県教委に事態を報告していなかったことがわかった。

 県教委は前校長が報告を行わなかった理由について、「校長(当時)が事態を把握した12月上旬に男性教諭に指導している。その後、男性教諭の指導手法に改善がみられたことから報告をしなかった。」と説明している。

生徒・保護者らが県教委に嘆願書
 今年2月26日、男性教諭のこういった暴言などを受け、生徒40名と保護者39名が県教委に男性教諭の懲戒免職を求める嘆願書を提出した。

 県教委によると、嘆願書は生徒40名と保護者39名が差出人になっているものの、同校の女性教諭2名が作成したという。女性教諭らは男性教諭の指導方法についてクラスの生徒や保護者から不満が相次いでいることを受け、嘆願書の作成を行ったとのことだった。

 嘆願書は当初、男性教諭の異動を求めるものであったという。しかし作成過程で女性教諭らが保護者を集めたところ、一部保護者の強硬な意見に押され、懲戒免職にするよう求めるものに内容が変わったという。

 県教委はこの嘆願書の作成段階で、生徒や保護者全員の同意が必ずしも取られていない実態があると説明した上で、県教委の調査中にマスコミに情報が流れてしまい、生徒たちが動揺したと話していた。

県教委は男性教諭の行為を「体罰」と認定
 県教委は、男性教諭が生徒の髪を丸刈りにしたことや、暴言を吐いたことに関し、「体罰」「生徒の気持ちや人権への配慮を欠く不適切な言動」と認めた上で、次のように指摘した。
「嘆願書の提出という事態まで至ったということは男性教諭のこれまでの指導に関して生徒が大きな不満・ストレスを感じていたと理解できるもので、こういった事態に至るということは男性教諭の行為は重たいものだ。」
 また、嘆願書を作成した女性教諭2名については、
「一人の教員の進退にかかわるような重大な決断をするようなもの(嘆願書)を子どもたちに強いてしまい、結果的に子どもたちが困惑する状況を作った。教育者としてそういう場面に子どもたちを巻き込んでしまうということで果たして正しい行動だったのかということで本人に指導する必要がある」
として文書訓告処分とした。

 そして、昨年12月に事態を把握しながら県教委に報告を怠った前校長を文書訓告処分とした。

県教委「子どもの人権に配慮した指導ができるように」
 今回の一連の事件を受け、県教委の担当者は「子どもの人権に配慮したそういう指導ができるようにということで教職員に指導を徹底することが一番だと考えている。」と再発防止策を説明していた。

(取材・文=平松けんじ)