神奈川県教育委員会は、今月8日、県立高校・中等教育学校(後期課程)・特別支援学校高等部生徒を対象に行ったセクシュアル・ハラスメントに関する昨年度のアンケート調査結果を公表した。

  同アンケート調査は毎年、同県教委が行っているもので今年は新たに全県立学校の全教職員を対象とした調査を新たに実施したという。



 アンケート調査は、全生徒に対して学校を通じて啓発資料とともにアンケート用紙及び回答用紙を配付し、生徒が自宅等で回答用紙を記入して県教委に直接郵送する形式で行われた。

被害を回答55人 前年度比で増
 県教委が公表した調査結果によると、セクハラ被害について回答した生徒は55人で、うち「自身がセクハラ被害を受けた」と回答した生徒が43人、「他の生徒が被害を受けた」と回答したのが25人だった。この設問は複数回答が可能となっており、両方回答したのは13人だった。

 また、セクハラの行為者は教員が24件、生徒が15件、部活動の指導者が1件、その他が6件で延べ46件となった。セクハラの具体的な内容については「必要もないのに体を触られた」「性的なからかいや冗談を言われた」「性別により決めつけられた」「性的なメッセージや画像を送られた」などの事例が明らかになっている。このほか「性的な関係を求められた」が2件確認されている。

前年度調査より件数増 県教委「生徒のセクハラ意識が向上」
 今回のアンケート調査では2017年度・2016年度の同調査に比べ全体的なセクハラ件数が増加している。

 セクハラ被害を受けた生徒数は、前回(2017年度)が46人、前々回(2016年度)が50人に対し、今回(2018年度)が55人となっており、前年度・前々年度に比べ被害生徒数が増加している。また、教員によるセクハラ被害の件数は、前回(2017年度)が17件、前々回(2016年度)が13件なのに対し、今回(2018年度)は24件と増加している。

 今調査でセクハラ被害件数が増加したことについて、県教委行政課の担当者は本紙の取材に対し、「生徒からこれまでセクハラとして申告がなかったような事案の報告が複数寄せられている。生徒の(セクハラに対する)センスがより一層高まっているということで数が増えている。」と分析していた。

 また教員によるセクハラ行為についての被害申告が増加していることについて、県教委行政課の担当者は次のように回答した。
「生徒のセクハラ意識が向上しており、感覚が鋭敏になっている。特に身体接触に関して教職員側は安全上の配慮や指導の一部として捉えている様子があるが、生徒は必要もなく体を触られたというような、生徒と教員の意識のズレが認められているような状況だ。」
教員にセルフチェックシートを配布、啓発強化図る
 生徒と教員の認識の乖離を埋めるため、県教委は今調査から意識啓発の一環で教職員に対する調査を初めて実施し、教職員自身あるいは同僚がセクハラを行っていないか報告を求めたほか、セルフチェックシートを配布するなど意識啓発に取り組んでいる。

県教委、54通の回答を学校長に通知
 調査結果を受け、県教委は学校名が特定された54通について、当該校の校長に回答内容を通知したということで、事実確認が必要な回答については学校長が調査を行い、セクハラ行為を行った者が判明した場合は厳重に注意したという。

 県教委の担当者は「被害を受けている事案や被害が継続している事案などについては速やかに被害者の救済を図るよう学校に連絡した」としている。

県教委、生徒に「とにかくセクハラ受けたら相談して」
 今調査に関連し、県教委は県立学校の生徒たちに対し、次のように呼びかけた。
「とにかくセクハラを感じたら誰でも良いので相談してほしい。校内相談窓口でも良いし、ポスターに記載の相談窓口に電話するのも良いし、直接話すことや電話することにためらいがあるなら、この4月から紹介しているNPO法人のLINE相談でも良いのでとにかく相談してほしいというのが我々の願い。我々も情報を守りながら解決の方に対応するので、と強く訴えたい。」

(取材・文=本紙編集長・平松けんじ)

論評 県教委直接調査は画期的 体罰・いじめにも拡大すべき
 今回、神奈川県教委が毎年セクハラに関するアンケート調査を実施していることを取材を通じて知ることが出来た。その中で私が特に画期的だと思ったのは生徒が学校を通さずに県教育委員会に直接回答を送ることができる体制を取っていたことだ。通常、こういったアンケート調査は学校主導もしくは学校を通じて生徒が回答を提出することが多いが、それでは事案が学校内で隠蔽され、生徒の救済が図られないというような不都合が生じてしまう。神奈川県教委の調査はこの点を克服する非常に良い策だと感じた。学校に丸投げするのではなく、県教委が生徒の人権を積極的に擁護していこうという姿勢は評価に値する。

 神奈川県教委に限らず、全国の教委でもこのような調査方式を採用すべきであるし、教員による暴力・暴言・不適切指導、いじめ調査などにも同様の調査方式を用いるべきだ。生徒が教育委員会に直接訴えられる体制は、教員による暴力・暴言・不適切指導やいじめといった学校現場の問題を解決する上で非常に役立つだろう。引き続き神奈川県教委には頑張っていただきたい。

(文=平松けんじ)