都庁第一本庁舎 平松

 東京都教育委員会(都教委)は、2日、日本自治委員会に対し、低温下・雨天下水泳授業問題に関しての回答文を送付した。同回答文は、先月24日に日本自治委員会が都教委に対して送付した抗議文への回答として都教委が送付したものだ。




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資料写真・東京都教育委員会が日本自治委員会に送った回答文(提供=日本自治委員会)
 回答文は東京都教育庁総務部教育情報課の中西正樹課長名で発出されており、日本自治委員会が要求した中井敬三教育長名での返答は行われなかった。都教委は回答文の中で、日本自治委員会が先月24日に提出した抗議文で要求した4項目について、次の通り回答した。

(1)小山台高校、国立高校、立川高校の3校の水泳授業の指導方針を直ちに是正させること。
<都教委の回答>
 ◯当該校の水泳授業の実施状況について、聴き取り等により状況を把握しました。
 ◯文部科学省の「水泳の手引き(三訂版)」を参考として、対象者の学年、能力、水温、気温、学習内容等を考慮して、水泳授業の実施の可否を判断するよう、校長連絡会で改めて周知します。

(2)都立学校全校において気温及び水温が23度未満の低温下、及び雨天下の水泳授業が行われていないかを調査・点検すること。並びに、万一そういった事例を把握した場合は、これを是正させること。
(3)都立学校全校において、「水泳実施期間中、雷が鳴っている場合を除き、温度・天候にかかわらず水泳を実施する」運用が行われているかどうかを調査し、存在するようであれば直ちに是正させること。
<都教委の回答>
◯水泳授業の実施の可否の判断については、対象者の学年、能力、水温、気温、学習内容等を考慮することが大切であり、毎年全都立学校対象のスポーツ施設等安全管理講習会において、文部科学省の「水泳の手引き(三訂版)」の内容を参考として示しています。
◯今後とも、学校経営支援センターと連携し、同様の事例が発生しないよう、引き続き状況把握と学校への指導に努めていきます。

(4)前三号の要求を実行した際は、その旨をホームページ又はその他都民が確認できる方法で公表すること。
<都教委の回答>
◯個別の対応事例について、ホームページ等で公表することはしていません。
都教委、全都立学校長に「改めて」周知
 都教委の回答を受け、日本自治委員会の平松けんじ議長は、5日夕方、都教委・教育情報課と同指導企画課に対し、電話で回答文に関する抗議と、回答の真意について確認を行った。平松議長は都教委教育情報課・利根川課長代理に対し、教育長名で回答するよう要求したにもかかわらず教育情報課長名で回答したことについての抗議と、理由の確認を行った。これに対し、利根川課長代理は次のように回答した。
「こちらの方で団体要請で受け取ったものは課長名で回答している。事案決定規程(都教育庁規則)で教育情報課が対応するということが決まっている。本件については課長決定区分ということで教育情報課長名で回答している。」ー都教育庁教育情報課・利根川課長代理

 また、平松議長は回答文別紙における指導企画課の回答内容について、要求に正面から答えていないとして、同課の美越統括指導主事に回答の真意を問い質した。美越統括指導主事によると、都教委は、4日に開かれた全都立学校の校長が出席する「校長連絡会」にて、低温下・雨天下水泳授業の実施により複数生徒が体調を崩した都立小山台高校の事例を示して、対象者の学年、能力、水温、気温、学習内容等を考慮して、学校組織全体で水泳授業の実施の可否を判断するよう改めて周知したという。

 日本自治委員会は、抗議文で全都的な調査・点検と低温下・雨天下水泳授業が行われている学校について指導方針の是正を要求していたが、都教委は校長連絡会での周知を受け、「状況を見守りたい」(指導企画課・美越統括指導主事)としており、全都的な調査・点検と都教委の強いリーダシップによる是正措置に難色を示した。

日本自治委「遺憾だが一定の評価」
 都教委の回答を受け、日本自治委員会の平松けんじ議長は、6日、次のような談話を発表した。
「日本自治委員会は東京都教育委員会の責任者である教育長名の回答文を要求していたが、都教委は事務局(教育庁)の課長名で回答文を送付してきた。これは組織の長同士で文書を交わすという抗議文での要求の趣旨に反するものであり、遺憾だ。また、回答文の内容も日本自治委員会が要求していた内容に正面から答えるものではなく、残念だ。

しかしながら、都教委が『校長連絡会で改めて周知する』『同様の事例が発生しないよう、引き続き状況把握と学校への指導に努める』と回答したことは一定の評価をしたい。また、体育科の単独判断ではなく、学校組織全体での実施可否の判断を周知してくださったことについては一定の評価をしたい。

日本自治委員会は、都教委が全都立学校長に周知してくれたことによって都立学校の現場で都立学校生徒たちが安全かつ健康に水泳授業を受けることができるよう水泳授業が改善されることを期待する。今後、気温・水温が23度未満の低温下や雨天下で水泳授業が強行され、生徒が体調を崩すようなことが二度と起こらないよう、都教委には言葉だけではなく、各学校への指導を実施していただきたい。

日本自治委員会は、都教委の周知を受け、各都立学校がどのような対応を今後取っていくのか、独自に情報を収集し、今後とも注視していく。」ー日本自治委員会議長・平松けんじ
(編集局)
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