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資料写真=東京都議会議事堂から見上げる都庁第一本庁舎(東京都新宿区)


 東京都の公立小学校教諭を知り合いに持つツイッターユーザーが「都の指令で、2020年の夏、都内の小中学校の児童生徒はオリンピックを盛り上げるために教員の引率でオリンピックの観戦に行くらしい」という内容のツイートを行い、「動員ではないか」と物議を醸している。ハフィントンポストなど主要なウェブメディアが相次いで東京都教育委員会(都教委)に取材して記事化していた。実際、ほぼ同様の内容のツイートが公立学校校長の極秘リークということで、5月26日にもツイッターに流れており、学校教育現場から漏れ伝わってくる動員の噂に世間の関心が強まっている。

 5月に流れた噂は都がオリンピック時に教職員のお盆休みを10月に移動させるという話や、オリンピック時に校長権限で教職員に出張命令を出し、オリンピックに無理やり参加させるというものだ。

 この真偽を確かめるため、本紙は東京都教育委員会指導企画課・鈴木統括指導主事に話を聞いた。鈴木統括指導主事は「現段階でオリパラ担当では(教職員のお盆休みを10月に時季変更する通知を)出しているという事実を把握していない。東京都としてはそういうお願いをしている事実はない。」と否定した。その上で、鈴木氏は、オリンピック・パラリンピック期間中に校長命令で教職員を出張させて競技観戦をさせるという情報について、現在各学校から観戦の希望を確認しているところであることから、現時点で教職員の服務の取扱は決めていないとした。

 鈴木氏によると、競技の観戦は都教委が積極的に参加を求めるものではなく、各学校の校長が「オリンピック・パラリンピック教育の集大成として」生徒を校外学習として観戦させるかどうか判断するというものだという。しかし一方で鈴木氏は、五輪観戦について「校外学習」として実施する形になるとの見解を示しており、校長の判断で児童生徒の競技観戦が決まることを明らかにしている。そのうえで鈴木氏は、五輪観戦にあたり児童生徒を安全に連れて行くという観点から教職員による「引率」という形を取る可能性にも言及しており、教職員に対する出張命令の可能性を完全には否定しなかった。

 これまで「ボランティア教育」の名の下に生徒が動員されたり、参加を強制されたりする事例があったことから、都教委の「希望制」というコメントを額面通り受け取れるかというとそうも感じられない。実際、「ボランティア・サミット」でも都教委は具体的な参加生徒数と教員数を明示したり、欠席する学校の校長に理由を申告させる等を行っている。これらを見る限り都教委からの現場に対するプレッシャーが全くないとは言い切れないのもまた実情ではないだろうか。児童生徒や教職員を動員し、国威発揚に貢献することが「平和の祭典」であるオリンピックの趣旨に本当に合致するものなのか、都民全体で考える必要がありそうだ。

(文=本紙編集長・平松けんじ)
※この記事は2019年6月8日付本紙記事「」を編集・再構成したものです。