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写真・私服警官と思しき人物に引っ張られる学生(目撃者提供)
   24日19時から大宮駅西口で行われた埼玉県知事候補・青島健太氏の街頭演説会で、応援演説に駆けつけた柴山昌彦文部科学大臣に対する抗議のプラカードを掲げた都内私立大学の学生が、警察官と名乗る複数の人間に引っ張られ、ベルトを壊されたことが、24日夜わかった。被害にあった大学生が本紙の取材に答えた。


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写真・壊された学生のベルト(本人提供)
 学生は「大学入試改革」の撤回と柴山大臣の辞職を求めるプラカードを掲げ、「柴山辞めろ」「入試改革を白紙撤回せよ」と発言したという。学生が駅の道路の脇の植え込みに移動しようとしたところ、スーツを来た警察官と名乗る複数の人間に3人がかりで引っ張られ、ベルトがちぎれた。警察官と思しき人間は学生を端っこに連れて行き尋問したという。

学生が撮影した「警察官」による尋問の様子

動画・学生と「警察官」と名乗る人物らのやり取り(本人提供)

動画・学生と「警察官」のやり取り(目撃者提供)
 学生の「あなた方に何の権利があってそういうことをやるんですか?」という質問に対して、警察官らしきスーツの男は「警察官として道路に飛び出そうとしたあなたを止めたんです」と説明。芝生に上がりこむことについて警察官らしき人間は「危険じゃないですか」と発言した。しかし学生によると、その前には自民党の人がその芝生の上に立っていたという。

 その後、学生は警察官らしき人間を適当にあしらうも始終つきまとわれたという。学生は「恐怖を感じた。一人では何もできない。」と語った。

柴山文科相「サイレントマジョリティーは入試改革に賛成」
 大学入試改革における英語の民間試験の活用に関しては、試験に関する情報提供が不十分であると指摘されており、文部科学省に対して改善を求める動きが出るなど、高校生などに不安が広がっている。しかし柴山文科相は自身の公式Twitter上で「サイレントマジョリティーは賛成です。」とツイートして批判を呼んだ。

 柴山文科相は27日、閣議後の記者会見で、自身のツイッター上で「(大学生が)喚き散らしていた」旨の発言をしていたことについて本紙記者に問われ、次のように述べた。
「街宣車の後ろの部分からですね、『柴山やめろ』とか『(英語)民間試験撤回』とかそういうことを大声で怒鳴る声がワァーと響いてきた。」
「私は大声を出したり、通りがかりに野次を発することはともかくですね、そういうことをするということは権利として保障されているとは言えないのではないか。そういう風に思っております。そういう意味からそのようなツイートをさせていただきました。」
 また、柴山文科相は自身の「(大学入試改革について)サイレントマジョリティーは賛成」というツイートについて、根拠を問い質した本紙記者に対し、朝日新聞が行ったアンケートに基づいてツイートしたとして、文部科学省が調査したものではないことを認めた。

埼玉県警「事実確認中」
 今回の事件を受け、本紙記者が埼玉県警警備課に取材したところ、同課次席の江田警視が取材に応じ、「警察官」と名乗る男らが行った行為について、県警警察官が行ったものなのか「事実関係を確認中」とコメントしている。

大学入試改革撤回を求める理由
 学生は、柴山文科相に大学入試改革撤回と辞職を求めるために行動を起こした理由について彼自身のツイキャスで次のような趣旨の発言をした。

「やっぱり機会の不均等。一体今何人の人が英語民間試験について知っているのかという話。塾や高校の先生も理解している人はほとんどいないと思う。その中で1週間後には事実上の出願が始まってしまう。そこに(情報の)格差があるだろうと。私はそこに一番反対している。」

  また学生は、中学時代成績が下位だったところから英語を猛勉強して高2で英検1級を取得したことで成功体験を得て自信がついたという自身の経験を踏まえ、次のように指摘した。
「今度の入試改革によって英語を通した成功体験はできなくなるじゃないか。全部で20種類くらいある試験から『お前勝手に選べ』となったら成功体験には繋がらない。絶対嫌々やらされることになる。私は民間試験を通して成功体験をして自信を持った人間として、英語民間試験(特に英検)のブランドが崩壊してしまうところに一番反対している。」
各地で政権批判者を演説から排除する警察
 以前も北海道で自民党候補者の演説で政権批判の声を上げた大学生が警察に排除されるなど、政権批判の声を与党の演説の場で一切許さないという警察の動きが強まっているようだ。今回、埼玉県警の警察官が行ったかどうかは不明だが、少なくともスーツの男は学生に対し、「警察官として」発言している。文科相は「サイレントマジョリティーは賛成」とツイートしていたが「サイレントマジョリティーは(ベルトを壊されるようなことは怖いから)賛成」の間違いではないか。全国で相次ぐ警察による演説の場からの反対派市民の排除―香港での民主を求める市民への容赦ない警察の弾圧が対岸の火事ではなくなっているようだ。既に日本は中国同様の警察国家になってしまったのかもしれない。

(取材・文=平松けんじ)
※2019年8月27日18時37分更新

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