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警察官に制止される大学生(目撃者提供)
 先月24日に埼玉県知事選挙への応援演説に登壇した柴山昌彦文部科学大臣に対し、大学入試改革撤回を求めて抗議の声を上げた大学生が警察官に排除された問題で、埼玉県警警備課次席の江田警視は、調査の結果として「道路上に飛び出そうとされた方がいたので県警の警察官が制止してます」と事実関係を認め、警察官の行為について警察官職務執行法第5条に基づく制止として適法だとコメントした。



 江田警視によると、私服警察官は道路上に飛び出そうとした大学生をとっさに引き止めて「後ろから腰のあたりを、洋服をパッと掴んだ」という。また、江田警視は、警察官が大学生のベルトを引っ張ったかどうかについて「(大学生がシャツの)裾を外に出してたんでベルトが見えなかった」と説明した。その後複数の警察官が大学生を端っこに連れて行ったことについて、江田警視は事実関係を認めた上で、次のように状況を説明した。

 「制止した時点では(大学生がいたのは)車道と歩道の境目のところだったんですね、場所的には。で、バッと背中を掴んでこう止めて、で、その若い方の前方にさらに2名の警察官が道路に出ないように立ちふさがるように、こう通せんぼみたいにして、で、その3人で『道路に飛び出しちゃ危ないですよ』と説諭をしながら、そこは路上、歩道上で通行もあるところですので。まぁ何て言ったらいいんだろうな。歩道を直角に横切るような感じでですね、歩道の反対側のビルの、雑居ビルの敷地まで一緒にこう説諭のために移動してもらったという感じなんですね。」

警察官の行う「制止」行為とは何か
 江田警視があげた警察官職務執行法第5条に規定する「制止行為」とは何なのか。条文にはこのように書かれている。

(犯罪の予防及び制止)
第五条 警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があつて、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。


 条文を素直に読むと、警察官が制止行為を行うことができるのは「犯罪がまさに行われようとするのを認めたとき」という前提条件がついている。つまり排除された大学生が犯罪をまさに行おうとしていたから制止をしたという論理でしか適法な行為とは言えないのだ。大学生を排除した警察官は、大学生が行った行為がどう「人の生命若しくは身体に危険が及」んだり、「財産に重大な損害を受ける」恐れがあり、「急を要する」ものだったのか説明する責任があるのではないか。また、警察官職務執行法第1条第2項によれば、いわゆる警察比例の原則が定められており、警職法に定める手段は必要な最小限度において用いるべきであるとされている。今回の大学生に対する「制止」措置では大学生の私物であるベルトが壊れる等の損害が出ている。これが必要最小限の手段を用いたものであったのか、警察はよく検証すべきだろう。

 本紙は当該警察官に話を聞くべく、江田警視に対し、制止行為を行った警察官の所属、階級、氏名について教えるよう求めたが、江田警視は「個別具体的な案件に対してお答えは差し控えます」として回答を拒否した。江田警視によると、当時大宮駅での警護活動は県警本部警備課の指揮の下行われていたものの、具体的な警備陣容や参加した警察官の所属、階級、氏名等は「個別具体的な警護実施の体制に関することなので、どこの社にも公表していない」そうだ。

(取材・文=平松けんじ)

 

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