2022年度から大阪市立の全21校の高校を大阪府に無償移管し、府立高校に転換する方向で大阪府と大阪市が合意したことがわかった。


 移管される市立高校のうち、南・西・扇町総合の3校は統廃合され、扇町総合高校の用地に新学校を開校する予定。また、移管される学校のうち、工業系の5校(都島工業、泉尾工業、東淀工業、生野工業、工芸)は、定員割れが続いていることから、対応を更に検討した上で移管作業に入る方針。

 移管に際しての初期費用は府側が負担し、市立高校の敷地や建物を無償で府に移管する。また、市立高校教職員はこれまで市の職員であったが、移管に伴い府の職員となる。

目的「人事や学校配置の面で効率化」
 大阪府・市両教育委員会の担当者は、市立高校の府への移管の目的について、いずれも「府・市それぞれで高校を運営するよりも、府に一元化し、広域的な観点で運営するほうが、教職員人事の面や学校配置の面で効率的な学校運営が図れる」と指摘している。

 大阪府・市は、2020年夏頃、市立高校の府への移管計画を作成する方針で、現在協議を進めている。府教委の担当者は移管計画に基づき、2022年4月に移管する流れになるだろうと回答した。

府・市与党の意向は?
 一連の市立高校の府への移管に関し、かねてより大阪府・市の二重行政の弊害を指摘している府政与党・市政与党である維新の会の意向が働いているのか、という本紙記者の質問に対し、大阪府・市両教委の担当者は「効率的効果的な学校運営を考える、広域的な視点で運営したほうが良いと思う」という大阪市長の発言を挙げた。大阪府教委の担当者は、「大阪市長の意向は当然あっての話だと思う。市長の施政方針演説で取り上げられているので、そのあたりから大阪市教委から相談があってこの話が進んでいる。」と説明。また、この担当者は、府知事の意向の有無について、「当然報告した上で、そういう形(=市立高校の府立化)で進めてくださいと(言われた)」と話していた。

(取材・文=平松けんじ)

論評 高校の設置・運営の広域化は当然
 大阪府と大阪市が遂に市立高校の府立化に一歩前進した。大阪府も私が住んでいる東京都も人口は多いものの、面積としてはとても狭い。どちらも日本で2~3番程度の面積の狭さである。にもかかわらず、府と市が別々に高校を運営するという形は非効率と言われても致し方ない。面積や効率を考えるならば、全体を俯瞰して政策を実施する広域自治体が高校を運営する方が効率的だ。

 本来、基礎自治体である「市」は地域に根ざした義務教育サービスを市民に提供すべきであって、高等学校の運営にまで手を出すべきではないだろう。学校数が少ない高等学校を市が運営すると、教職員の人事異動という面で長年同じ学校の教職員を続けることになったり、比較的狭いエリアでの異動になるため、悪い「地域性」というものに飲まれやすい。実際、以前話題になった尼崎市立尼崎高校の暴力教師の問題だってそうだ。卒業生に話を聞いたところ、体質は10年前も同様だったと証言していた。結局のところ、公正公平な高校運営を考えるならば広域自治体による運営が正しいと思う。

 したがって高等学校を府立化するという大阪府・市の考えは妥当だと私は考える。維新の会の政策に全面的に同意するわけではないが、市立高校の府立化には全面的に賛成したい。今後、人口や定員数を見つつ、地域に最適化した学校設置を進めていってほしいものだ。

(文=平松けんじ)