都庁第一本庁舎 平松
東京都教育委員会が入る都庁第1本庁舎(撮影=平松けんじ)

 東京都教育委員会(都教委)は、すべての都立中学校と高等学校に対し、生まれながらの頭髪を黒く染めさせる指導を生徒にしないよう改めて求めることを決めた。


 都教委は、4日、高等学校教育指導課長名で「人権尊重の理念に立った生活指導の在り方について」と題した通知を発出し、人権を尊重した形での生活指導を各都立学校に求めたほか、5日に開催された全都立学校の校長が参加する校長連絡会で、黒染め指導の禁止徹底を改めて求めた。

 4日に発出された都教委の通知では、生活指導の在り方として、「問題行動に対する指導を含め、全ての教育活動は、生徒の人権の尊重を基本として行うこと」「生活指導を行う際には、校則を機械的に運用することなく、校長の権限と責任のもとで、一人一人の生徒の問題行動の背景や反省の状況に応じて適切に指導すること」を求めており、頭髪に関する指導についても「生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わないこと」としており、生徒の人権を侵害するような指導を行わないよう求めている。また、通知では地毛証明書の提出についても記載されており、「事実誤認による指導を未然に防ぐ」という趣旨と届け出が任意であることを明確に伝えることを求めている。

 都教委関係者は、6日、本紙の取材に応じ、校長連絡会での周知や通知の発出について、「(黒染め指導禁止が各校で)徹底されていないので改めて徹底してください」という趣旨であることを明かした。都教委はこれまでも黒染め指導をやめるよう求めていたが、都教委の指導を守っていない学校が存在していることを都教委の指導主事自らが認めている。都教委は、今回の通知発出と校長連絡会での周知で改めて人権尊重の指導徹底を図った形だ。

 この件について詳細な背景等を聞くべく、本紙は都教委高等学校教育指導課に電話取材を試みたが、「回答できる者がいない」として回答しなかった。

(編集局)

論評 都教委の対応は最低条件をクリアしているに過ぎない
 7月30日に民間団体から1.9万人の署名と要望書を手渡された都教委も動かざるを得なくなったのだろう。しかし4日に発出された都教委の通知を見る限り、人権を著しく侵害し、報道等で問題視されるレベルの指導をやらないよう求めているに過ぎず、最低条件を守るよう求めている程度にしか感じない。

 そもそも「問題行動」がどういったものを指すのか、という定義づけからやり直すべきだろう。学校側の指導や教職員の項について不当であると生徒が感じ、抗議行動として行った行為まで「問題行動」とされてはかなわない。本質的に高校生にもなって赤の他人に生活を指導される筋合いはない。学校は勉強するところであって全体主義に適応する臣民を作るところではない。

 また、通知では地毛証明書の提出についても記載されており、「事実誤認による指導を未然に防ぐ」という趣旨と届け出が任意であることを明確に伝えることを求めている。そもそも髪を染めることを禁止することが学力向上に何の関係があるのだろうか、甚だ疑問である。

(文=平松けんじ)