FullSizeRender
画像=講演の様子(撮影=平松けんじ)

 1日夜、神奈川県相模原市の相模大野駅前すぐの「ユニコムプラザさがみはら」で、生徒自治をテーマにした学習会「生徒自治シンポジウム」が行われ、東京・神奈川の生徒会の役員らが議論を深めた。


 シンポジウムでは2回の講演が行われ、それぞれ東大附属中等教育学校生徒会・藤田星流氏と、慶應大学法学部・田中駿介氏が講演した。

生徒・保護者・教員が学校の問題を議論する「三者協議会」
 東大附属中等教育学校生徒会の藤田星流氏は同校の生徒会組織や生徒自治の先進事例を紹介。同校の生徒自治の特筆性は生徒の権限の強さだ。同校では「三者協議会」という生徒・保護者・教員&学校の三者が学校の問題について話し合っているという。藤田氏は三者協議会につい「議決機関ではなく、学校や生徒が抱える問題がどこにあるのか、どれくらいの大きさなのか、どのようなアプローチをすれば良いのかといったことを認識していく機関だ」と説明した。三者協議会は1年に2回行われており、議題は生徒・保護者・教員の三者から収集され、決められるという。

 三者協議会は、同校で教員たちの研究会として設立された「開かれた学校ワーキンググループ」で話し合いが行われた結果、1999年から実施されるようになったという。藤田氏は三者協議会について具体的な事例2つについて説明を行った。

 1つ目は制服についてだ。同校では1969年に高校生(現・後期課程生)の制服が自由化されたものの、中学生(現・前期課程生)の制服は自由化されないままだった。2019年5月末に行われた三者協議会で「制服について」というテーマが生徒から出たという。最終的にセクシャルマイノリティや健康の面を考慮し、前期課程生の制服は2020年度から廃止されることが決まったそうだ。藤田氏は制服を廃止できた理由について、「三者協議会に来てくれた人がいろんな声を出してくれたから変えることができた」と話していた。

 2つ目は部活動の練習時間についてだ。数年前、ある運動部の練習が週7回行われていることに関し、同部の生徒から「嫌だ」という声が上がり、三者協議会で取り上げられることになった。三者協議会では「何故部活動をやるのか」というテーマで議論したという。その後、生徒会や学校で協議を重ね、2017年に文部科学省から指導が入り、練習が週4日になったという。

 その後、2019年に「働き方改革」の実施や、「専門的知識のない顧問が生徒に指導するのはどうなのか」という生徒や教員の声を受け、「部活動の在り方」というテーマで三者協議会が行われる予定だという。同校では2020年度から部活動指導員制度の導入が決定している。

 藤田氏の講演の後、各校の生徒会関係者が自校の問題などについて情報共有を進めた。議論は生徒会活動の様々な分野について展開された。特に盛り上がったのが予算の編成権がどれくらいあるのかという話。「部活動の予算くらいは決められる」という公立学校や、「100%生徒が決めることができる」という東大附属中等教育学校など、各学校によって生徒側の予算編成の自由度は大きく差があることがわかった。

 また、生徒会と学校のパワーバランスについても話が弾み、県立高校で生徒会長を務める生徒が「平等が良いと思う」と話したほか、「教員が一方的に決めて施設の用途を執行する」などの専横についても話題となった。

生徒会制度の欠陥をどう克服していくか

 やはり全体的に制服、施設の用途や予算などの大きな変革を学校側が阻止したがる傾向が強く感じられた。県立高校の生徒会副会長を務める生徒は、生徒会が学校教育法上の教育に位置づけられていることに言及しつつ、それを超えて自治を展開していきたいと抱負を語っていた。しかし「教育」の名の下に何でも押し付けてくる教員の意識を変えない限り、生徒会を自治的に運営していくことはなかなか難しい側面があると記者は感じた。これらを解決するためには、学校が「教育を受ける権利」を行使する立場にある生徒たちのものであることを明確にし、学校運営に生徒が強く参画できるようにしていく必要がある。そしてそのためには学校の教員組織から独立した生徒自治組織を立ち上げていくことが必要だ。

(神奈川・相模原=平松けんじ)

※カンパのお願い※

The Interschool Journalでは、中高生が置かれている教育現場の実態を中高生含む皆さんに知っていただくため、記事を無料で配信しております。もし私どもの活動にご支援いただけるようでしたら、ご寄付をお願い申し上げます。


(ご寄付先)

りそな銀行新宿支店3745700