Reported by 平松けんじ
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東京・虎ノ門の文部科学省(平松けんじ撮影)

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で学校の臨時休校が長期化していることを受け、文部科学省は緊急事態宣言発令中で臨時休校を続けざるを得ない場合でも分散登校で段階的に学校を再開するよう求める通知を、1日、全国の教育委員会などに出した。

文科省20200501通知 分散登校例全部
図=「分散登校」の例(文部科学省通知添付の参考資料より)

 文部科学省は通知の中で、分散登校を行う際に進路指導への配慮が必要な小学6年生・中学3年生などの最終学年の子どもたちや、学習習慣が身についておらず教師による対面での学習支援が必要な小学1年生の子どもたちが優先的に学校で学べるよう配慮するよう求めている。

 また、文部科学省は、いわゆる「ソーシャルディスタンシング」の確保のため、1つのクラスを複数のグループに分け、使用していない教室を活用することで、子ども同士の距離をおおむね1~2メートル確保し、対面にならないような形で授業を行うことを求めている。

 このほか、文部科学省は、各教科ごとに感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い学習活動として次のようなものを示し、当面行わないよう求めている。
 ●「音楽」の授業で狭い空間や密閉状態での歌の指導や、身体の接触をともなう活動
 ●「家庭科」の調理実習
 ●「体育」の授業での子どもたちが密集する運動や、近距離で組み合ったり接触したりする場面が多い運動
 ●子どもたちが密集して長時間活動するグループ活動
 ●運動会、文化祭、学習発表会、修学旅行
「リスクゼロでの登校は困難」
 通知は、感染症や教育専門家で構成される懇談会の提言を踏まえて出されたもの。専門家たちは提言の中で「学校での感染リスクをゼロにするという前提に立つ限り、子どもが学校に通学することは困難」として、「学校における感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減しつつ段階的に実施可能な教育活動を開始し、その評価をしながら再開に向けての取組を進めていくという考えが重要」と指摘している。つまりリスクゼロを突きつめて子どもたちが学校で学べない状況が続くことより、学校での感染・感染拡大リスクを極力低くするよう努力しつつ、段階的に学校で可能な限りの教育を開始していくべきというのだ。

 文部科学省によると、4月22日現在で小中学校の95%、高校の97%が休校となっているという。愛知県は5月末までの休校延長を決めているほか、東京都も5月8日までは事実上休校となっている。4日に安倍首相が緊急事態宣言の5月末までの延長を決めたことで、各地での臨時休校が5月末まで続く可能性が高まっている。そういった中で、どう子どもたちの学びの場を確保していくかが問われている。

「リスクゼロではない登校再開」 子ども・保護者の意見を聞いたのか
 一方で、緊急事態宣言が全都道府県を対象としている中、学校への登校再開を嫌がる子どもや保護者は多数いる。4月には茨城県立日立第一高校の生徒たちは県教委や学校に「ストライキ」を通告し、県全域での臨時休校を要求したほか、各地で高校生による休校を求める署名活動などが活発に展開されている。保護者の一部も学校再開に慎重な声や休校を求める声を上げている。

 萩生田文科相は、1日の会見で、そういった家庭の子どもについては学校長などとの相談の上「例外的に欠席扱いにはしないということをあらかじめ決めてほしい」と述べている。文部科学省も1日の通知の中で、学校を完全休校にしている状況下で任意の登校日を設定する際、指導要録上の登校日数に含まないよう求めており、子どもが任意で欠席した場合に欠席扱いしない運用をとるようになっている。一方で、学校の一部休校の場合で最終学年などの子どもたちを優先して登校させた場合、やむを得ずに登校できない子どもへの配慮を求めているものの、授業のある子どもについては出欠を記録するとしている。

 子どもたちが「リスクゼロの休校延長」を望んでいるのか、それとも「リスクを極力削減した形での学校再開」を望んているのか。文部科学省にはぜひとも子どもたちへのアンケートをとるなど、子どもの声を聞いてほしい。