東京都庁で会見する小池百合子都知事(2020年5月15日 「東京動画」)
※本紙記者との質疑は45分28秒頃➢こちらから飛べます
Reported by 平松けんじ
 9月入学制の導入に賛成している東京都の小池百合子知事は、15日の定例記者会見で本紙記者の質問に答え、9月入学が「日本の制度を変えていく1つの大きなきっかけになる」「大きな新しい日本のあたりまえを作っていくかもしれない」と述べ、持論を展開した。


 臨時休校が長期化する中、中高生たちからは「授業が遅れてる中で受験をするとなると、圧倒的に履修範囲を理解できないまま進む。受験が心配。」(東京都・私立高生)という声や、「夏休みや土日を利用というが詰め込めるものではない。」(埼玉県・県立高生)という声が上がっている。

 一方で学費の負担が半年分増えることや、学年区切りの変更で人数が1.4倍になる学年の子どもたちが将来的に受験や就職で不利になるのではないか、年中からいきなり1年生になってしまうことでストレスを感じるのではないかという未就学児の保護者の強い懸念の声も上がっている。

 こういった中、中高生や保護者たちの声への受け止めや東京都としての対応策について本紙記者に問われた小池知事は「新しい日本のあたりまえを作っていくかもしれない」「明治時代のころは9月入学が当たり前だった。4月が当たり前だと思っているのはこの期間だけの話かもしれない。」と述べ、引き続き9月入学導入に賛意を示した。その上で小池知事は「唯一聞かれていないのは子どもの意見。子どもの声もどこかで聞いてあげたほうがいいのではないか」との見解を示した。

 一方で、9月入学で未就学児が影響を受けることへの懸念・対策については「不利になるというようなことがないように、この間、教育に関係している方々を含め、色々な議論を経て結論を出されたらいい」と述べるにとどめ、都としての対応・政策を明らかにしなかった。

 小池知事が「子どもの声を聞くべき」と発言したことは子どもの意見表明権を保障するという子どもの権利条約という「グローバルスタンダード」的観点から素晴らしい発言だ。小池知事にはぜひとも子どもの声を吸い上げる仕組みを都として作っていただきたい。一方で未就学児の保護者の懸念の声に対して国に丸投げするような発言に終始し、具体的に都としての対応を明らかにしなかったことはどうなのか。コロナ禍の中、9月入学の旗振り役を担った以上、影響を受ける子どもが不利益を受けた場合に都知事の立場でどう対応していくのか考える責任があるのではないか。言いっ放しで国に丸投げというのはいささか無責任のそしりを免れないのではなかろうか。