Reported by 平松けんじ
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による臨時休校の影響で学習の遅れが出ていることを受け、東京都・大阪府・奈良県の各教育委員会が2021年度の公立高校入試の出題範囲を縮小することを相次いで決めている。

 東京都と奈良県の教育委員会は、11日、都・県立高校の入試で出題範囲を縮小することを発表。大阪府教育委員会もこれに続き19日に公立高校入試の出題範囲の縮小を発表した。

 奈良県教育委員会が公表した「新型コロナウイルス感染症にかかる対応方針」によれば、同県の中学3年生の71.8%が学習に何らかの不安を感じているという。同調査結果では、学習進度、学習内容、学習範囲すべてにおいて不安を感じている生徒が30.3%(1848人)となっているほか、各教科への不安では44.9%~67.1%の生徒が不安を訴えており、学習に対する不安がないと答えたのはいずれもわずか1割程度だとされている。

 これを受け、奈良県教育委員会では社会、数学、理科の3教科で出題範囲を限定。出題範囲から除いた範囲についても私立高校受験者の不安解消や学習の質の保障のためにオンライン授業を提供するという。 

 東京都・大阪府・奈良県の各教育委員会はいずれも中学の学習範囲は中学卒業までに修了することとしており、高校への繰り越しなどは行わない方針だ。東京都、大阪府、奈良県の各県では夏休み・冬休みの短縮を図り、学習の遅れを取り戻していくようだ。東京都では現行の7月21日~8月31日の夏休みが8月8日~23日の約2週間、大阪府では夏休みが8月7日~16日の約1週間に短縮が図られている。授業時数を確保することにシャカリキになるあまり、子どもたちの学習ペースや息抜きを軽視していないか。子どもたちの心情にも配慮した学校運営が問われている。

(参考資料) 各都府県の出題範囲縮小の内容及び夏休み・冬休みの期間
東京都
〇夏休み:8月8日~23日(現行:7月21日~8月31日)
〇冬休み:12月26日~1月3日(現行:12月26日~1月7日)
【国語】中3で学習する漢字
【数学】三平方の定理、標本調査
【英語】関係代名詞のうち、主格のthat、which、who及び目的格のthat、whichの制限的用法
【社会】(公民)『私たちと経済』の「国民の生活と政府の役割」、『私たちと国際社会の諸課題』
【理科】(1分野)『運動とエネルギー』の「力学的エネルギー」、『科学技術と人間』、(2分野)『地球と宇宙』の「太陽系と恒星」、『自然と人間』
奈良県
〇夏休み:8月1日~8月31日 ※各校の実情に応じて、さらなる短縮可
【社会】一般選抜:(公民)「私たちと国際社会の諸課題」
【数学】特色選抜:「三平方の定理」・「標本調査」、一般選抜:「標本調査」
【理科】一般選抜:「科学技術と人間」(1分野)、「自然と人間」(2分野)
大阪府
〇夏休み:8月7日~16日※府教委が示したモデルケース
〇冬休み:12月29日~1月4日※府教委が示したモデルケース
【国語】中学3年生の書写中学校で学習する漢字の一部
社会】(公民的分野)『私たちと経済』のうち「国民の生活と政府の役割」、『私たちと国際社会の諸課題』
【数学】「円周角と中心角」「三平方の定理」・『資料の活用』
理科『科学技術と人間』(1分野)『自然と人間』(2分野)
【英語】『現在分詞及び過去分詞の形容詞としての用法』のうち「後置修飾」、「大阪版中学校で学ぶ英単語集」にある単語の一部