都立北園高校で9月9日に執行された生徒会役員選挙で、会長に立候補した生徒の選挙公報の内容に学校側が難色を示し、生徒を呼び出していたことがわかった。
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齋藤副校長は当初「事実ではないならば誹謗中傷にあたる」と指導を正当化したが、最終的に昨年学校側から「確かに表紙にその写真を使うのはどうか」という発言があったことを認めた。
生徒会の要求にゼロ回答
同校は「自由の北園」と評されるほど生徒の自由が認められている学校として有名だったが、昨年4月に抜き打ちの頭髪検査が行われ、髪の色が明るい生徒に対して学校側が指導を行うなど近年、自由な校風が失われつつある。生徒たちは生徒会を中心に学校側の規制強化に立ち向かっている。今年に入り同校生徒会が山下康弘校長に直接団体交渉を行ったものの、学校側は「学校として適切でないと判断したものについては指導する」という従来の方針を繰り返したという。齋藤副校長は明るい髪色の生徒を指導する教育的意義や効果について問われた際、しばらく押し黙り、「行き過ぎたと判断した場合は指導する」と従来の主張を繰り返した。
校則は生徒の意見を反映すべき
我が国も批准している子どもの権利条約では「意見表明権」が子どもの権利として保障されることとなっている。萩生田光一文科相は13日、本紙記者の質問に対し、「校則の変更については生徒と学校側とよく話し合いをするということはあってもいいと思う。学校がどういう判断したのか、ちょっと私はわからないのでコメントは控えさせていただきたいが、高校の場合は学校のルールと生徒の自由度と割と非常にバランスが取れているのではないか。時代に合わないルールを、ある意味強要されて、学生側としては納得がいかないっていうことがあれば、そこはそれぞれの学校で対応してもらいたい」と述べた。
学校の校則は校長が教育上合理的な目的において定めるものとされているが、一般的な社会からすると学校の権力構造は非常にいびつで、生徒が一方的に支配される構造になっている。校則という「法律」を作る立法権も、校則に基づいて生活指導をする行政権も、生徒を退学処分にする司法権も全て校長が握っている。こんな独裁国家のような学校現場で主権者教育ができるとは到底思えない。生徒にとって身近な「政治」とは学校生活だ。独裁体制下で学校生活を余儀なくされているようでは主権者としての見識が育つことはない。主権者教育だの主体的・対話的な学びとか言うのであれば、まず学校現場で生徒たちが主権者としてふるまえるよう抜本的な改革をやるべきだろう。
*2020年10月28日19時15分 (お詫び)北園高校長のお名前に誤りがありました。「山下康彦」校長となっていましたが、正しくは「山下康弘」校長です。訂正し、お詫びいたします。
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