台東区議会は、新型コロナウイルス感染症の流行で登校に不安を感じる生徒・保護者のための相談機関の設置を求める陳情を、10月2日、趣旨採択した。陳情は「台東区で登校選択制を考える会」が提出したもの。

 陳情書は「免疫疾患や喘息などの持病を抱えている児童生徒、また家族に持病を持つ方や高齢者のいる家庭では事態は深刻」「密になるのを避けなければならない今の状況下では、学校生活に不安を感じてしまう児童生徒もいる」と指摘。「私たち保護者には、『自主欠席』をさせるか、あるいは『不安を抱えながらの登校』をさせるかしか選択肢がありません」と窮状を訴えた。また、陳情書は「現段階では自主欠席を選ぶ児童生徒に対する学びの保障はほとんどなく、多くの保護者が不安ながらも我が子を送り出すしかない」という自主休校者の学習権の保障が未整備であることも指摘した。


「密な学校に持病のある我が子を通わせられない」

 「台東区で登校選択制を考える会」の代表を務める母親は、子どもに持病があることから、「密な学校に重症化リスクのある我が子を通わせられない」として自主休校を選択しているという。母親は「あしたば学級の存在をさらに周知させ、感染症が蔓延しやすい冬にむけて、子供たちが少しでも安心できる環境を整えてほしい」「希望者はタブレットを使い自宅でオンライン授業をできるようにしてほしい」と述べている。


区教委は特別支援学級での受け入れ可能を明言

 10月2日に開かれた区議会区民文教委員会で行われた陳情書の審議では、委員からは「趣旨採択」を求める声が多く挙がった。鈴木昇区議(共産党)は新型コロナウイルス感染症への不安から自主休校を選択した児童生徒・保護者に特化した相談機関・相談員を置ける体制を検討するよう区教委に求めた上で、採択を求めた。一方で他の区議からは趣旨採択を求める声が挙がった。田中宏篤議員は「コロナ(不安による自主休校)に特化した相談機関というのはちょっとどうなのかな」との思いを吐露。「区の制度上あしたば学級というものがあり、スクールカウンセラーがいて、担任も丁寧に対応しているというふうに認識している。制度として充足している。」と指摘した。


 委員会の質疑の中で、区教委はコロナ感染への不安から学校に登校できない児童を特別支援学級「あしたば学級」で受け入れることが可能だと答弁。既に「趣旨採択以前の段階でコロナ禍によって自主休校を余儀なくされている児童も『あしたば学級』に入級している」(区教委教育支援館)という。


 一方で「あしたば学級」があまり児童生徒に周知されていないとの指摘が相次いだ。鈴木議員は「保護者の中にあしたば学級がなかなか浸透していないところがあるのかなぁと実感」と指摘したほか、本目さよ議員は、「ここで陳情が出てきたのは、それがやっぱり伝わっていないから」と指摘。区教委は区報11月号への掲載でさらなる周知を図る意向を示した。また、台東区では1月末までに区立小中学生にタブレット端末が配布されるが、オンライン授業の実施について具体的な検討には至っていないという。

寝屋川市では「登校選択制」をすでに実現

 大阪府寝屋川市では陳情者が求めている「登校選択制」がすでに実現している。同市では登校と自宅学習を選択することができる。希望する生徒に対してはオンラインのライブ配信で授業が視聴できる環境が整備されている。100年に一度の世界的パンデミックの中、通常通りの学校運営は著しく困難を伴う。本来であれば、こういった感染症の世界的流行に備えて、学校教育が別の形で継続できる「プランB」を予め用意しておくべきだった。インターネットでのライブ配信は約10年前から様々なサービスが存在していた。以前から国や自治体が率先して不登校児向けに自宅学習用のオンライン授業を整備しておけば、2月の安倍前首相の一斉休校要請後、教育活動が5月末まで事実上止まってしまう事態にはならなかっただろう。「デジタル化」を掲げる菅内閣には「プランB」としてのオンライン授業の整備を強く求めたい。

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