福島県教育委員会は、特定の生徒を名指しして黒板にいじめを呼びかける書き込みをした福島県の公立中学校学年主任の男性教諭(48)に対し、減給6ヶ月の懲戒処分を下した。本紙のメール取材に、福島県教委義務教育課が回答した。
 県教委によると、男性教諭は昨年10月10日、授業中に被害を受けた男子生徒が髪の毛に整髪料をつけすぎていたため、口頭で注意した後、黒板の1日の行動目標の欄にこの男子生徒の実名を挙げて「調子に乗っているからみんなでいじめよう」と書き込んだという。

 その後、被害生徒は昨年10月11日から今年3月13日までの間、断続的に約半数の日数、学校を欠席したという。現在被害生徒は当該中学校を卒業し、県内の高等学校に進学したという。

男性教諭「冗談のつもり。軽率だった。」と釈明
 男性教諭は県教委に対し、
「授業中に机間指導をしていたところ、被害生徒の整髪料のつけすぎが気になった。こういうことをしてはまずいよという気持ちで板書してしまった。」
「冗談のつもりで書いてしまった。軽率な行動だった。」

と話しているという。

校長にも戒告処分
 今回、県教委は男性教諭を指導監督する立場の当該中学校の校長に対しても、指導監督不適正を理由に戒告処分を下した。

県教委「いじめの根絶を目指す県教委の方針に逆行」
 県教委は今回の事案について「被害生徒氏名を含む侮蔑的な文言を教員自らが板書したことは、いじめの根絶を目指す福島県教育委員会の進む方向と逆行するもの」と指摘した上で、「生徒の安全安心に配慮し健やかな成長を見守るべき教職員としての認識が根本から欠如した軽率かつ極めて不適切な行為」と男性教諭の行為を断罪した。

 県教委は今後の再発防止策として、各学校に今回の処分に関する通知を行うほか、冊子「信頼される学校づくりを職場の力で【平成31年(2019年)改訂版】」を、校内服務倫理委員会等で活用し、具体的な事例に基づく研修等を丁寧にかつ地道に続けるよう指導していくとしている。

 また、県教委は「体罰等(侮蔑的な言動等)及び指導監督不適正については、全公立学校の校内服務倫理委員会において当該事例を含む不祥事根絶に関する服務倫理委員会等の活動を行うようあらためて指導する」と説明した。

(取材・文=本紙編集長・平松けんじ)

論評 教師がいじめを扇動するなど論外 もはや教壇に立つ資格はない
 「体罰」と称した教員による暴力行為が相次ぐ中、暴言・侮蔑的発言も止まらない。福島県で起こった今回の事案は、教師が黒板に生徒の実名を挙げていじめを扇動するというあってはならない行為だ。教師は生徒指導上の職権・権威を有しており、生徒から見れば絶対的な存在である。その教師が生徒をいじめようなどと扇動するという行為は、一歩間違えば本当に生徒がいじめられるきっかけになりかねず、教師自らがいじめを作り出す行為と言えるだろう。絶対に許されない行為だ。もし生徒が本当にいじめられて自殺に追い込まれる重大なリスクがあったことに気づかなかったのか。とても愚かだ。

 生徒を守り育てる立場にある教師が生徒の人権を踏みにじり、不登校に追い込むというのは、到底教育者とは言えない所業である。教師としての適格性を疑わざるを得ない。「冗談のつもり」にしては悪い冗談過ぎる。笑えない。件の教師は減給処分となったが、彼はもはや教壇に立つ資格はない。速やかに辞職すべきだ。

(文=平松けんじ)
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