東京都立小山台高校で気温20度前後の中、水泳の授業が行われ、複数の生徒が体調を崩した問題で、他の都立高校でも同様の事例が存在する可能性が判明した。
新たに低温下水泳授業が行われていたことがわかったのは、東京都立国立高校。同校では6月12日2時限目に気温19度、水温22度で水泳の授業が行われた。同校で授業を受けた生徒は「明らかに水温気温ともに低すぎる状態」と語った上で、「その影響かはわからないが翌日風邪を引いた人が学年ではとても多かった。」と話している。また、前日に水泳の授業を受けた同校生徒は「水泳が原因で数人風邪を引いた」と証言している。
これに対し、同校の北澤副校長は水泳の授業を実施した際の気温・水温については「文部科学省の基準の範囲内」とした上で、翌日の欠席者について「6月13日に欠席者は出たが、水泳の授業との因果関係は認められない。」と述べていた。
「雷が鳴らない限り決行」に生徒たちから反発の声
また、同校の複数の生徒が学校側の方針として「落雷がない限りは期間中は雨天であっても水泳の授業をする」実態を証言している。ある生徒は、雨の中水泳の授業が行われたことや、気温が18度であっても水温に問題がないことを理由に、水泳授業が強行された事例を証言した。本紙はこれらの水泳授業の実態について存在するのか同校に質問したが、北澤副校長は回答しなかった。
これらの雨天下・低温下の水泳授業の実態について、生徒たちからは反発の声が多く寄せられている。
「雷が鳴らない限り授業を行う方針には納得できない。生徒の意志が反映されていないように思える。多くの生徒が低い気温の中、泳がされている。」
「水泳の授業の評価は他の競技の2倍分あるようで、下手に見学することができない。」
「先生方も単位の都合があるので多少無理矢理水泳をするのもしょうがないとは思うが、週2回の体育の授業のせいで生徒が体調を崩すのはおかしい。他の活動ができなくなる生徒もいます。学校が勉強をする場であるとするなら、それを妨害するような、授業として明らかに破綻したものだ。」
ただ一方で少数意見ながら、同校卒業生から次のような証言も寄せられた。
「気温が多少下がるにせよ、元から水に入るつもりなのに雨に濡れることは抵抗がなく、むしろそれなのに中止になった方が疑問。小中学生ならまだしも、体が十分に出来上がっている高校生ですから、高校での雨天決行は問題ない。」
他の都立高校・公立中学校でも同様事例か
これ以外にも他の都立高校の生徒や公立中学校の卒業生から本紙に告発が届いている。大雨の中水泳の授業が強行され、複数の生徒が翌日風邪を引いたといった証言が複数届いている。
東京都教育委員会(都教委)指導企画課・田村主任指導主事は、複数の都立高校での低温下・雨天下での水泳授業について、「改めて都立高校全体に注意喚起していきたい」と述べた。
スポーツ庁は学校に判断任せ
このような水泳授業の実態について問題はないのか、本紙はスポーツ庁学校体育室に取材した。同庁担当者は、同庁として水泳の安全管理に関しては通知は出しているが、水温・気温等細かい基準までは定めておらず、学校側の判断に任せていると話していた。その上で、同庁では水泳の授業を行う際の安全管理について、学校側が判断する材料として「学校体育実技指導資料」という資料を示しているという。
同資料では水泳の授業における安全管理について、死亡例を交えながら基準を示していたものの、水温や気温に関してはあくまで目安程度の記述しかされておらず、天候・水温・気温について厳格な基準が定められていない。
これらについて同庁担当者は学校側に現場の実情に応じて判断を任せている趣旨の説明をしていた。
同資料では水泳の授業における安全管理について、死亡例を交えながら基準を示していたものの、水温や気温に関してはあくまで目安程度の記述しかされておらず、天候・水温・気温について厳格な基準が定められていない。
これらについて同庁担当者は学校側に現場の実情に応じて判断を任せている趣旨の説明をしていた。
(取材・文=本紙編集長・平松けんじ)
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