都庁第一本庁舎 平松
資料写真=東京都教育委員会が入っている東京都庁第一本庁舎(東京都新宿区、撮影=平松けんじ)
 複数の東京都立高校で20度前後以下の低気温下や雨の中、水泳の授業が強行されている問題で、24日、日本自治委員会(JAC)が東京都教育委員会(都教委)に抗議文を提出した。



2019年6月24日付JAC→都教委抗議文
画像・日本自治委員会が都教委に提出した抗議文(提供=日本自治委員会)

 24日17時頃、日本自治委員会の平松けんじ議長は東京都庁第一本庁舎(東京都新宿区)37階の東京都教育委員会教育情報課を訪れ、利根川課長代理に対して中井敬三教育長宛の抗議文を手渡した。

 平松議長は抗議文の中で今月10日と12日に東京都立高校3校(小山台、国立、立川)で低気温下や雨天下で水泳が行われた結果、複数の生徒が体調を崩したことについて言及した。抗議文では、こういった水泳授業の在り方について「生徒の健康・身体生命の安全を害する重大な人権侵害行為」と指摘し、抗議の意を示している。

 その上で、抗議文は複数の都立高校で運用されているとされる「雷が鳴らない限り低温下・雨天下でも水泳授業を行う」という指導方針について、「生徒の健康・身体生命の安全を全く考慮しない指導方針」と厳しく批判。日本自治委員会は、都教委がこのような指導方針を放置しているとして抗議した。

日本自治委、都教委に4つの要求提示
 日本自治委員会は、抗議文の最後部で、都教委に対して次のような4つの要求事項を提示し、24日から起算して14日以内に中井敬三教育長名で回答するよう求めた。

<日本自治委員会の要求事項> ※抗議文より
(1)小山台高校,国立高校,立川高校の3校の水泳授業の指導方針を直ちに是正させること。
(2)都立学校全校において気温及び水温が23度未満の低温下,及び雨天下の水泳授業が行われていないか調査・点検すること。並びに,万一そういった事例を把握した場合は,これを是正させること。
(3)都立学校全校において,「水泳実施期間中,雷が鳴っている場合を除き,温度・天候にかかわらず水泳を実施する」運用が行われているかどうかを調査し,存在するようであれば直ちに是正させること。
(4)1~3の要求を実行した際は,その旨をホームページ又はその他都民が確認できる方法で公表すること。

平松議長、都議にも接触へ
 一連の都立高校における低温下・雨天下水泳授業強行問題に関し、平松議長は東京都議会の1会派に対して要望書を提出し、各都立高校生徒から寄せられた情報を都議側に提供した。平松議長は今後順次様々な会派の都議に接触する構え。

24日も別の都立高校で水泳を雨天決行か
 なお、未確認情報ではあるものの、日本自治委員会が都教委に抗議文を提出した24日当日も、複数の都立高校で雨天下での水泳授業が決行され、そのうち1校では複数生徒が体調不良となった模様だ。詳細が分かり次第、お伝えする。

(編集局)

◆抗議文全文◆
2019日自発第1号
2019年6月24日
東京都教育委員会教育長 中井敬三 殿
日本自治委員会
議長 平松けんじ

抗 議 文

私たち日本自治委員会は,複数の都立高校で気温・水温が低い状態若しくは雨天時に水泳の授業が強行されたことに関し,設置者である東京都教育委員会に対し,次の通り抗議,並びに要求事項を申し入れる。

また,日本自治委員会は,東京都教育委員会に対し,教育長名で本書面に対する返答・見解・回答を14日以内に示すよう併せて要求する。(返信先については末尾に表記する)

1.2019年6月12日3・4時限目,小山台高校において気温が20度(気象庁ホームページによれば19度~21度)の状況下で水泳の授業が行われた結果,授業中ならびに授業後に体調を崩した生徒が複数確認されている。一部嘔吐した生徒もいるとのことであり,水泳の授業によって発生した生徒の健康被害は重大なものである。生徒が体育の授業の結果,体調を崩し,他教科の学習に支障を来したとするならば,同校体育科の行為は生徒の教育を受ける権利(憲法第26条)を侵害する行為である。日本自治委員会は,これらについて生徒の健康・身体生命の安全を害する重大な人権侵害行為,及び生徒の教育を受ける権利に対する侵害行為と定義し,厳重に抗議する。

2.2019年6月12日2時限目,国立高校において気温が19度(気象庁ホームページ)の状況下で水泳の授業が行われた結果,授業翌日に風邪を引いたり,体調を崩した生徒の存在が確認されている。本件についても前項同様,生徒の被った健康被害は軽微なものではなく,看過できるものではない。したがって日本自治委員会は,本件について生徒の健康・身体生命の安全を害する重大な人権侵害行為,及び生徒の教育を受ける権利に対する侵害行為と定義し,厳重に抗議する。

3.2019年6月10日,立川高校において雨天の中,水泳の授業が行われた結果,授業翌日に風邪を引いたり,体調を崩した生徒がいるという情報が寄せられている。本件についても前二項同様,生徒の被った健康被害は軽微なものではなく,看過できるものではない。したがって日本自治委員会は,本件について生徒の健康・身体生命の安全を害する重大な人権侵害行為,及び生徒の教育を受ける権利に対する侵害行為と定義し,厳重に抗議する。

4.前三項に掲げた3校においては水泳の授業を実施する期間中,雷が鳴っている場合を除き,温度・天候にかかわらず水泳を実施する運用がなされていると聞く。これは生徒の健康・身体生命の安全を全く考慮しない指導方針であり,到底看過できるものではない。このような生徒の健康・身体生命の安全を害する指導方針を放置している東京都教育委員会に対し,日本自治委員会は厳重に抗議する。

5.日本自治委員会は,東京都教育委員会に対し,次の4点を要求し,これらの要求に対して教育長名において回答することを求める。
 (1)小山台高校,国立高校,立川高校の3校の水泳授業の指導方針を直ちに是正させること。
 (2)都立学校全校において気温及び水温が23度未満の低温下,及び雨天下の水泳授業が行われていないか調査・点検すること。並びに,万一そういった事例を把握した場合は,これを是正させること。
 (3)都立学校全校において,「水泳実施期間中,雷が鳴っている場合を除き,温度・天候にかかわらず水泳を実施する」運用が行われているかどうかを調査し,存在するようであれば直ちに是正させること。
(4)前三号の要求を実行した際は,その旨をホームページ又はその他都民が確認できる方法で公表すること。

以上

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