神戸市教育委員会は今月20日、来年度から市立小中学校の運動会で組体操を全面禁止することを発表した。


 市教委は、8月に久元喜造神戸市長から提出された要請文を受け、各学校に対し、指導者の事前研修の必修化や演技構成・安全確保策を詳細に記述した練習計画書の提出を求め、安全確保に向けた取組をさらに強化していた。しかし今年度、組体操の練習中、6人の骨折を含む51件の事故が発生。また、現場の教員が計画書の提出を義務付けられたことにより事務作業時間が増えたこと、教員に「絶対に事故を起こしてはならない」という精神的な負担がかかっていたことから組体操の全面禁止に踏み切った。

8月に中止要請も 「混乱回避の為」今年は実施
 神戸市立小中学校での組体操については、久元市長が8月2日付で市教委に対し、「安全な状態で実施できないと判断する場合には実施を見合わせて頂くよう強く要請する」という要請文を提出しており、Twitter上でも「もうやめるべきだ」「無責任だ。子どもたちはあなた方の実験の対象ではない」と市教委を繰り返し批判していた。

  なぜそれでも今年度は組体操を強行したのか―。市教委教科指導課の浦川稔弘課長は「市長のツイッターに関しては正式な職務命令ではないのでどうこうコメントできる立場ではない」「(市長から)8月に要請を受けた時点では、すでにもう練習を始めてる学校が多かった」「混乱を回避するため」と釈明。今年秋については安全確保の取り組み強化で対応するにとどめたという。しかし安全確保の取り組み強化をしても事故を減らすことは「難しかった」(浦川課長)という。

問われる神戸市の教育行政
  神戸市では、10月にも市立東須磨小学校で教員間のいじめ問題が発生しており、市教委はこの問題への対応についても問題視されている。
 
 繰り返される問題について、市教委の教育行政のあり方が問われている。これについて市教委はどう考えているのか。これについて、市教委総務課・吉田氏は「東須磨小の案件と組体操の案件は同一視してないので(笑)。申し訳ないですけど」と話した一方で、「我々の教育委員会事務局ないし学校の組織風土にもやはり問題があるのではないかということで、組織風土改革ということも進めていこうということで今取り組んでいるところ」と組織風土の問題について改革を進める意向を示した。

 組織風土改革を進めると話している神戸市教委だが、そもそも市長から8月の時点で組体操を中止するよう求める要請やツイッター上での批判が出されていたにもかかわらず、今年度組体操を強行し、結局骨折などの怪我をした生徒を出したという時点でもうあり得ない話だ。今回の組体操禁止の決定は遅きに失したと言わざるを得ず、市教委の責任は重大だ。市教委には解体的出直しを求めたい。

(編集局)
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