先月25日、日本自治委員会は、9月以降断続的に東京都教育委員会(都教委)に対して提出していた抗議文や要求書に関し、都教委から14ページにわたる回答文書が郵送で届いたことを発表した。回答文書は先月20日付。
日本自治委員会は、これまで新宿山吹高校紛争をめぐり団体交渉を求めていたほか、同校や他の都立高校の学校運営に関し、要求書を提出していた。また、日本自治委員会が10月7日から行っている都立高校前でのチラシ配布事業「とうきょうトリエンナーレ」の際、都立高校側が配布を妨害した事例について「言論弾圧である」として抗議文を都教委に提出していた。
日本自治委、都立高前チラシ配布継続へ
都教委「団体交渉の必要は認められない」
都教委は、回答文書の中で、新宿山吹高校における同校自治委員会と同校の間で継続中の紛争の解決と都立学校の学校運営改善を目的とした団体交渉について拒絶した。
都教委は、回答文書の中で以下のように述べている。
都教委は、回答文書の中で、新宿山吹高校における同校自治委員会と同校の間で継続中の紛争の解決と都立学校の学校運営改善を目的とした団体交渉について拒絶した。
都教委は、回答文書の中で以下のように述べている。
このたび御指摘されている都立新宿山吹高等学校の事柄については、いずれも校長の教育的見地に基づくものであり、団体交渉の必要は認められません。その他学校運営上の御指摘については、法令に基づき適切に行われています。なお、貴団体からの要求書については、本回答と同日付文書で回答しましたので、都教育委員会は団体交渉に応じません。
その他、要求書に記載されている都立学校に関する運営、生徒指導に関することについては、校長が自らの権限と責任において、適切に行うこととされています。
これに対し、日本自治委員会の上原瑞貴情報局長は、公式ホームページ上で声明を発表。上原氏は都教委の回答について「都立学校は校長の独裁下かつ校長の私物であると主張しているようなもの」と指摘し、「都民たる生徒の声を全く無視するものである」「学校に置ける生徒の主体性を無視するものである」と厳しく非難。上原氏は「東京都教育委員会の憲法軽視、人権軽視と言える姿勢に関し、激烈なる不満を表明」したうえで、今後も様々なルートを通じて都教委への働きかけを続けていく意向を示した。
また、上原氏は、都教委が新宿山吹高校の学校運営に関し、「法令に基づき適切に行われている」と回答していることについて次のように指摘した。
「新宿山吹高校当局は今まで数多の違法行為(逮捕・監禁、脅迫、強要等)、違憲行為(検閲行為、言論・報道の自由の侵害、教育を受ける権利の侵害、不当抑留、公務員の憲法擁護義務違反等)、その他不適切な行為(無断撮影、いじめの隠蔽、学校内における村八分の煽動等)を多数行っている」
公道上の表現活動への妨害も正当化
そして、都教委は、都立高校3校(上野、白鷗、国立)が日本自治委員会のチラシ配布活動「とうきょうトリエンナーレ」に対し、「学校を批判しているようで良くない」「教育上問題がある」等の理由をつけて「妨害」を行ったことについて、「生徒の登下校中の安全面を確保する観点から、校長が自らの権限と責任において行った」と返答し、都立高校側の行為は適切であるとの見解を示した。
そして、都教委は、都立高校3校(上野、白鷗、国立)が日本自治委員会のチラシ配布活動「とうきょうトリエンナーレ」に対し、「学校を批判しているようで良くない」「教育上問題がある」等の理由をつけて「妨害」を行ったことについて、「生徒の登下校中の安全面を確保する観点から、校長が自らの権限と責任において行った」と返答し、都立高校側の行為は適切であるとの見解を示した。
これに対し、上原氏は「(憲法第21条で保障されている)表現の自由の侵害を容認するものだ」として厳しく非難している。
日本自治委、都立高前チラシ配布継続へ
都教委の今回の回答を受け、日本自治委員会は昨年10月から毎日行っていた都立高校前でのチラシ配布活動「とうきょうトリエンナーレ」を今年も継続する方針を固めた。
このことについて、日本自治委員会・上原氏は「都教委の回答からは、都立高校における生徒の意見表明権、人権の尊重を図る意思を感じられない。都立高校生の生徒の自由と権利を守るため、都立高校生徒への問題提起の取り組みを継続・強化していくことが必要だ。」と指摘している。
◇ことば◇「とうきょうトリエンナーレ」とは?
日本自治委員会が行っている宣伝活動の一つで、東京都内の学校で起こっている諸問題・人権侵害を都立高生に対して啓発することを目的として、各都立高校の校門前でフライヤーを配布するもの。各都立学校の教職員から度々妨害行為を受けており、上野高校(江本敏男校長)、白鷗高校(善本久子校長)、国立高校(佐藤文泰校長)、三田高校(三保和彦校長)の4校で妨害が行われた。このうち上野、白鷗、国立の3校については妨害の度がひどいことから「言論弾圧」であるとして、日本自治委員会側が強く抗議していた。
日本自治委員会が行っている宣伝活動の一つで、東京都内の学校で起こっている諸問題・人権侵害を都立高生に対して啓発することを目的として、各都立高校の校門前でフライヤーを配布するもの。各都立学校の教職員から度々妨害行為を受けており、上野高校(江本敏男校長)、白鷗高校(善本久子校長)、国立高校(佐藤文泰校長)、三田高校(三保和彦校長)の4校で妨害が行われた。このうち上野、白鷗、国立の3校については妨害の度がひどいことから「言論弾圧」であるとして、日本自治委員会側が強く抗議していた。
(編集局)
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