平松けんじ


 萩生田光一文部科学大臣は、9日の閣議後会見で高校における1人1台のICT端末の整備について来年度に一旦整理する意向を示した。


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 文部科学省は「GIGAスクール構想」小中学生に1人1台のICT端末の整備を目指しているが、高校生の1人1台のICT端末の整備は行われていない。東京都などではBYODという生徒自身の私物のスマートフォンなどを活用する形で授業が進められている例があるが、端末を買える生徒と買えない生徒の格差を心配する声もある。


 兵庫県立高校では2022年度の新入生からタブレット端末を制服などと同様の学用品として自費購入させることを決めた。しかし端末を購入できない家庭の子どもについては県が端末代を貸与する奨学金制度で対応することとなっている。



会見する萩生田光一文部科学大臣(9日、平松けんじ撮影=東京・霞が関の文部科学省)

 萩生田氏は、9日の閣議後会見で本紙の質問に答え、「高校の授業でも一人一台端末の環境というのは整えていくべき」「経済的に困難なご家庭のお子さんが公立の学校に行くのに、その学校で求められた端末を持てないことで授業に参加できないとか、あるいはうちにもって帰ることができないようなことは望ましいことではない」と述べ、国として支援策を講じる意向を示した。一方で萩生田氏は「進学校ですとか、普通科の学校あるいは職業科の学校などはその扱うパソコンなどのスペックが物凄く違う」とも述べ、学校の設置者と協議をしながら学校ごとに合った支援のあり方を検討していく考えも示している。


 デジタル化を旗印に「ハンコレス」「縦割り110番」などの改革を進める菅政権。コロナの中、ICT端末の必要性が高まっている。文科省は2020年度中に小中学校の1人1台端末整備を完了させる方針だが、義務教育ではないからと高校生が取り残されてしまっては格差が広がり、貧困の再生産に繋がってしまう。文科省が高校段階のICT端末整備にどれだけ積極的に乗り出してくれるのか注視したい。


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