福島啓介 平松けんじ
岐阜県本巣市は、コロナ禍で宿泊旅行行事に行けなかった子どもたちの声を受け、小6と中3の子どもたちに1人2万円の旅行券をプレゼントする。
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例年、小6は京都と奈良、中3は東京または福島に修学旅行に行くことになっているが、今年は宿泊旅行ができなくなったという。市教育委員会は、子どもたちからの声を受け、中3には5年後の20歳の時に仲間たちと、小6には家族との旅行を楽しんでもらおうと、議会や市長の賛同を得て今年度の補正予算から1450万円の予算を組み、旅行券を配布する取り組みに踏み切った。
「近距離での実施、日程変更・短縮、翌年度への繰り越し等適切な判断を」
文部科学省は、1月20日に更新されたQ&Aの中で、緊急事態宣言の対象都道府県では、政府の基本的対処方針、文科省の「衛生管理マニュアル」などを踏まえ、「近距離での実施、旅行日程の変更や短縮、最終学年でない場合は翌年度への実施の繰り越しなども含めて、適切に判断していただきたい」としている。また、内閣官房は、2月4日付の事務連絡で「大学の卒業式は適切な開催のあり方を慎重に判断」「卒業旅行については、若者が感染に気付かず活発に移動することにより高齢者等に感染を広げている事情を踏まえ、自粛を働きかける」としている。
記者会見する萩生田文科相(16日、東京・霞ヶ関の文部科学省=文部科学省チャンネル)
萩生田光一文科相は、16日の会見で、本巣市の取り組みについて問われ、「マインドはすごい良い」「児童生徒に寄り添って、コロナの中で貴重な経験ができなかった人たちになんとか代替案を示していくという市の姿勢は評価をしたい」と評価した。そのうえで萩生田文科相は、国が本巣市のように修学旅行に行けなかった児童生徒に旅行券を配布するなどの取り組みを行うかどうかについて、「財政負担が伴うことについて国が一律に支援をするというのはなかなか難しいと思う」「修学旅行に行けなかったすべての児童生徒に国が責任を持ってやるというのはちょっと難しい」と述べた。
卒業後でも「集える」機会を
今回の本巣市の取り組みは、コロナ禍で小中高校での青春を奪われた子どもたちへの救いにつながるという点から評価できる取り組みだ。萩生田文科相も昨年「3月31日出発でも良いから」と修学旅行の実施を呼び掛けていたが、実際問題、コロナ・パンデミックは年度末までに終息することはほぼあり得ないだろう。だからこそこういう取り組みが必要になってくる。国や自治体には卒業後にもう一度同級生たちと集える機会をぜひとも保障していただきたい。
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