平松けんじ

北園高校(スタンプ付き)
資料写真・都立北園高校

 都立北園高校の生徒有志が、1日、「北園現代史」と題したドキュメンタリー映像作品をYoutube上に公開し、衝撃が広がっている。作品では秘密裏に生徒が撮影したと思われる生徒会長候補に選挙公報を書き換えさせようとする教員たちの様子や、同校での規制強化の実態が生々しく激写されている。(映像はこちらから)


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 同校は頭髪や服装について成文化された規則はなく、具体的に成文化された規定がある他の都立高校に比べると自由だ。しかし映像は、2019年に生徒部が生徒向けに配布した資料や新入生向け説明会などで学校側が髪を染めることを規制するような発言を繰り返していたことを暴露している。また、映像は、2020年4月発行のPTA広報誌の表紙に黒髪でない生徒が映っていることを問題視した学校側が表紙の差し替えを求めた決定的証拠のメモも暴露している。


 同校では2018年以降、学校側がそれまで自由だった髪染めなどを規制強化していて、生徒たちが反発している。映像中でも100人の生徒中97人の生徒が同校の髪染め指導は「適切ではない」としている。


 作品には同校OBの西村博之氏(元2ちゃんねる管理人)、津田大介氏(ジャーナリスト)、そして田原総一朗氏も出演するなど非常に豪華な構成。50年前の「北園紛争」当事者へのインタビューなど「北園高校の"自由”の歴史を過去と現在の両方から探り、これからの北園の在り方を見つめ直すドキュメンタリー映画」(作品解説より)となっている。


公開5日後に1万再生超

 映像は1.5万回再生を超え、ネット上で大きな話題となった。映像は学校側も確認している。斎藤栄昭副校長は頭髪指導について「(教師が)度を越えているという判断をしたものについては注意していくということは変わらない」として変更しないという考えを示した。しかし一方で斎藤副校長は、記者の質問に対ししばらく押し黙る場面もあった。ISJは山下康弘校長にも取材を申し込んだが、斎藤副校長を通じて「回答を差し控える」と取材拒否された。


教員側「日本社会は同調性強く求める」

 動画公開後、北園高校の教員が2年1組の生徒に対し出したとされる文書がTwitter上で公開され、生徒たちからさらなる反発の声が上がっている。そこには「現在、大多数の学校が頭髪や服装指導を厳しく行っており、日本社会は同調性を強く求める社会です。皆さんにはこの現状を踏まえた頭髪や服装を求めます。」「ツイッターに『北園高校の頭髪指導が不当である!』という記事を掲載したとき、中学生や保護者はどう思うか?考えよう。北園高校にとってプラスになることは1つもないはず。」という文言が太字強調で書かれている。Twitter上ではこの文書を撮影した複数の写真がリツイートなどで共有されていて、北園高校の生徒たちから強い反感の声が上がっている。この文書の真偽についてISJは学校側への取材を試みたが、10日現在回答を得られていない。


文科相「聞いて差し上げたらどうかな」


会見でISJの質問に答える萩生田文科相(9日、東京・霞が関の文部科学省で=平松けんじ撮影)

 今回の動画公開について、萩生田光一文部科学大臣は、9日の記者会見でISJの質問に対し、「個別の案件については知らないが、(中略)先生たちももし学生たちがそうやって一生懸命、礼儀正しく議論をしたいという姿勢を示しているんだとすれば聞いて差し上げたらどうかなと個人的には思う」と述べた。
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