萩生田文科相210209
萩生田光一文科相
 萩生田光一文部科学大臣は、1日の閣議後会見で次期政権の文科相への引き継ぎについて問われ、「今日緊急事態宣言は解除になったが子どもたちの学校での不自由さは変わらないと思うので、ぜひ子どもたちの思いを共有しながら子どもたちの目線で大人として文部科学省としてできることは全てやる。その決意で次の大臣にもバトンタッチしていきたい。」と述べた。

 萩生田氏は「コロナに抗うにあたって(子どもたちが)どうしても我慢をしたり、諦めたりしなければならなかったこともあったことは事実。この時代に巡り合わせでそういう学年になってしまったお子さんは本当に申し訳ないという気持ちがある。」とコロナ禍で日常を奪われた子どもたちに同情を示した。その上で萩生田氏は「子ども達がその時にしか経験することができないことは、かけがえのないもの。かけがえのないよのについてはなんとしてでもやり遂げる、実施をするというこの思いで(取り組んできた)」と述べた。

「地方(自治体)こそ教育の最前線」強調
 一方で登校選択制やオンライン授業をめぐり、文科省として対応を迫られた部分もあったことを念頭に、「何か決めきれないことがあると地方に丸投げかと言われるんですけど、地方に丸投げじゃなくて、地方こそ教育の最前線で子どもたちの教育に責任を持ってるということをこの機会にコロナを通じて改めてお互いに再認識した」と述べ、地方自治体が教育行政への責任感を持つことの重要性を強調した。そのうえで「特に義務教育はどこに生まれてもどこに住んでいても同じレベルの教育が受けられる。そういった小学校中学校の教育の内容をしっかり担保し、レベルを上げていくことを国と地方で連携してやっていかなくてはならないので、全国の首長の皆さんも同じ思いでこの教育行政に携わっていただいたら、日本中少し良くなるんじゃないか」と地方自治体の首長が当事者意識を持つよう促した。

(21/10/5 追記)萩生田光一氏は、岸田内閣で経済産業大臣に就任した。

大臣、お疲れさまでした
 安倍、菅内閣と2年間にわたり、文部科学大臣として教育行政をけん引してきた萩生田光一文部科学大臣には、まず心から「お疲れ様でした」と申し上げたい。

 財務省と闘い、小学校のクラス人数を1クラス40人から35人に40年ぶりに改め、大学入試改革の英語民間試験と記述式問題導入を撤廃にし、教員免許更新制に引導を渡したー歴代の文部科学大臣として最も功績があると言っても過言ではない実績を作った。また、会見などではそっけない返答であったものの、今年6月に校則の見直しを促す事務連絡を文科省として全国の教育委員会に出すなど、人権侵害の校則の見直しも行った。

 これまで自民党幹部時代の言動などから「ワイルド」で「ウルトラライト」な文科行政になるのではないかと心配していただけに極めて安定感のある文科行政に驚いた。

 一方で対面授業に固執し、オンライン授業や登校選択制に消極的な姿勢であったことは残念に思う。不登校児が過去最多を更新し続けている今の時代、学校が必ずしも合わない子どもたちもいることを理解してほしかった。

 「学校=楽しい場所」な子どももいればそうでない子どももいる。N高などこれまでになかった新しい「学校」の形も生まれていることから、明治以来の集団一斉授業の見直しなど、次期政権の文科相には新しい「教育」へのアップデートを期待したい。
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