5月下旬以降、気温が上がったこともあり、各地の学校で熱中症で児童生徒が救急搬送される事例が相次いでいる。
6月1日には都立高島高校(板橋区)で体育大会中、5人の生徒が熱中症で救急搬送された。鈴木誠士副校長によると、同校では体育大会を学年別で入れ替え制で開催し、各学年2時間しか競技を行っていなかった。鈴木副校長は搬送された生徒たちはいずれも軽症だとしている。学校側は、競技中はマスクを外し、競技種目ごとに水分補給をするよう指導していたが、体調不良の生徒が出たため、念のため救急搬送した。
6月2日には、大阪女学院で体育大会中、生徒29名、保護者1名の合計30名が熱中症で搬送された(うち1名が重症)。同校では午前8時半から中高合同の体育大会を屋外で開催。午後まで競技を行っていたという。同日、大阪市では最高気温が29.2度に達していたが、報道によると同校は熱中症リスクの指標である「暑さ指数」の確認をしていなかったという。
さらに6月3日には、尼崎市立立花中学校で全学年で体育大会の練習を行っていた際、22名の生徒が熱中症で救急搬送された。市教育委員会によると、練習が行われていた時間帯、10分ごとに確認した「暑さ指数」は注意から警戒レベルに達していたという。また同校ではマスクを外す指導をしていなかった。
文部科学省は、十分な身体的距離が確保できる場合や体育の授業ではマスクの着用は必要ないことや、気温・湿度や暑さ指数(WBGT)が高い日には熱中症対策を優先してマスクを外す指導を行うよう通知していたが、熱中症で児童生徒が搬送される事案が相次いだことから、6月10日、全国の教育委員会などに対して、▽熱中症の危険性に関する適切な指導、保護者にも理解・協力を求めること、▽体育の授業や登下校時にマスクを外すよう指導することなどを改めて通知した。
末松信介文科相は、6月10日の会見で「非常に憂慮している。」「即、命を落としかねないという問題がある」と指摘したうえで、体育の授業や登下校時のマスクを外す指導を徹底する考えを示した。
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