今年1月、バイクに乗っていた男子高校生(当時17)に沖縄警察署地域課の男性巡査(当時29)が警棒で接触し、男子高校生が右目を失明する大けがを負った事件で、沖縄県警は、2日、男性巡査(30)を特別公務員暴行陵虐致傷の容疑で書類送検した。

事件は今年1月27日午前1時16分頃、沖縄市宮里の路上で発生。県警によると、男性巡査は、暴走族取り締まりのためのパトロール中、バイクで走ってきた男子高校生に職務質問しようとした際、バイクを停止させようとして、右手に持った警棒を男子高校生の右目付近に衝突させるとともに、左手でつかみかかる暴行を加え、大けがを負わせたのだという。県警は、男性巡査が男子高校生につかみかかろうとした行為を故意の暴行だと認定。

この事件をめぐっては男子高校生が「警察官に警棒で殴られた」と証言したことから、一時若者300人が沖縄署に投石する事態に発展した。これまでの県警の捜査では、男性巡査の警棒から男子高校生のDNAが検出されている。しかし県警は、「警棒をどのように使用したか等細かい部分はいまだ捜査中」(金城修二郎監察課次席)だとして、男性巡査が故意に男子高校生を警棒で殴打したことを認めていない。

男子高校生「県警の説明にショック」「認識異なる」
男子高校生は、県警の記者説明に「ショックを受けている」とコメント。県警の説明が自身の認識と異なるものであると代理人弁護士を通じ、明らかにした。

男子高校生は、「(バイクの)停止を求められた事実はなく、突然物陰から出てきた男性巡査に声をかけられることもなく、突然棒のようなもので殴られた」と県警の説明に反論。弁護士は「沖縄県警は少年が停止を振り切って逃げようとしたかのような説明をしているが、少年は突然棒のようなもので強打され、止まったら何をされるかわからず、危険を感じて止まることができなかった」と指摘している。

男子高校生側は「沖縄県警の説明は(男子高校生の)一貫した主張を認めず、あたかも非があるかのような内容が含まれており、全く納得できない。」と県警を厳しく批判した。そのうえで11月1日の沖縄署長からの謝罪について、「県警が上記のような認識でいると知っていたならば謝罪を受けなかった。そのための捜査に9カ月の期間を要したことも到底納得できない。」と怒りをあらわにしている。

県警は、事件を受けて4日に臨時署長会議を開き、鎌谷陽之本部長が「ざんきに堪えがたい」と述べ、適正な職務執行と県民の信頼回復に向けた職務への邁進を訓示したが、10月31日にも那覇署の警察官が容疑者に対し、髪をつかみ、暴言を吐く様子がSNS上で公開されるなど、沖縄県警の市民への暴力的な体質は簡単には直らなさそうだ。

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