東京都内の自治体では、来年度予算案が相次ぎ発表されている。


品川区 「子育て3つの無償化」実現
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記者発表に臨む森澤恭子区長(2日、品川区役所=丸谷希唯撮影)
品川区の森澤恭子区長は2日、記者団に対し来年度予算案を発表した。選挙戦中も掲げた「子育て3つの無償化」の公約である給食費無償化、第2子保育料無償化、高校生医療費無償化を計上し、いずれも所得制限なしで4月からの実現を目指す。さらに0歳児家庭への「おむつ宅配」で育児の孤立化を防止するほか、保育所の空き定員を活用した未就園児の定期預かり事業を4月に発足するこども家庭庁のモデル事業として実現を目指す。一方で校則の見直しや、いじめ専門部署の設置については盛り込まれなかった。

港区 小学校高学年で「教科担任制」導入
港区の武井雅昭区長は1月30日、来年度予算案を発表した。港区では1.3億円をかけ、4月から全区立中学校10校の全107部活動に部活動指導員(業務委託)を配置。実技指導をはじめ、学校外の大会や練習試合への引率などを担わせる。全部活動への指導員配置は都内初で、生徒が専門的指導を継続的に受けられる環境の整備と、教職員の負担軽減がねらい。

また、8415万円を計上し、各校に非常勤講師1名を配置。すべての区立小学校19校の高学年クラスを対象に外国語、体育、理科、社会などの教科で教科担任制を実施する。全校での教科担任制実現は、都内初の取り組み。

千代田区 部活動指導外部委託を試験的実施
千代田区は1月31日、令和5年度当初予算案を発表した。部活動の地域移行に向け、部活動の指導の外部委託を、平日を含め試行的に実施する。また、インクルージブ教育を推進するため、医療・臨床発達等の専門家を含めた特別支援教育に関する協議の場を新設する。

文京区 学級に馴染めない児童生徒に対し支援
文京区は1月30日、令和5年度予算案を発表した。ICT支援員による支援を充実させるとともに、デジタル教科書や各種アプリを活用した授業・家庭学習を推進する。また、情報モラル教育を推進する。
また、学級に馴染めない児童・生徒に対応するため、小・中学校でモデル校4校を選び指導員を配置するとともに、新たにNPOと連携し、オンラインシステムと連携した支援を進める。

墨田区 小学校にエデュケーションアシスタント配置
墨田区の山本亨区長は1月30日の記者会見で、来年度予算案を発表した。墨田区立小学校17校に、業務の補助を行う「エデュケーションアシスタント」を配置し、子供たちの学びの環境の充実を図る。
また、区立中学校の休日の部活動を、段階的に地域移行する。
不登校の生徒への支援を行うため、現在区立中学校4校に設置されている校内スモールステップルームを全10校に拡充する。また、課題を抱える児童・生徒やその家庭への支援を充実させるため、スクールソーシャルワーカーを増員する。

江東区 学校給食無償化に着手
江東区は2月2日、令和5年度当初予算案を発表した。江東区区独自の子育て世帯支援として、所得制限なしで電子クーポン3万円分をすべての子育て世帯に配布する。所得制限なし・自己負担なしの子ども医療費助成を高校生相当まで拡大する。
また、学校給食無償化の検討に着手する。それまでの間、給食費の食材料費高騰分を区が補助する。
また、高校等に進学を希望する中学3年生に対し、返済不要の給付型奨学資金制度を創設する。
また、休日の学校部活動を段階的に地域移行する。

目黒区 子育て世代に給付金支給
目黒区は2月2日、令和5年度当初予算案を発表した。
子育て家庭に対し、18歳以下の子ども一人当たり1万円の給付金を所得制限なしで支給する。また、高校生等に対し、医療費の助成を行う。
妊娠期から出産・子育てまでの支援として、妊娠期や出産時の電子クーポンの支給や、新生児誕生祝金の給付、一歳頃の家庭への経済的支援を行う。

中野区 部活動の地域移行検討
中野区の酒井直人区長は2月2日、記者会見で令和5年度当初予算案を発表した。
18歳以下の医療費を、所得制限を設けず無償化する。
中学校の部活動の地域移行に向け、検討委員会を立ち上げ部活動の在り方を検討する。

杉並区 「子どもの権利に関する条例」検討
杉並区の岸本聡子区長は1月31日、記者会見で当初予算案を発表した。
杉並区では「子どもの権利に関する条例」の制定を目指し、検討を進める。また、子どもの貧困に関する実態調査を実施する。ヤングケアラーの支援につなげるため、実態調査を実施する。
食材費高騰対策として、引き続き給食費の増額分を区が負担するとともに、食材費高騰分を学校に支給する。就学援助認定基準額を1.2倍から1.3倍に引き上げ、対象者を拡大する。

豊島区 子どもの権利を擁護する機関を設置
豊島区の高野之夫区長は1月31日、記者会見で令和5年度当初予算案を発表した。
子どもの権利を擁護する第三者機関として、中立性及び独立性を担保する「(仮称)としま子どもの権利擁護センター」を設置する。また、「子どもの権利相談員」を2名配置する。
ヤングケアラーを支援するため、「ヤングケアラー支援コーディネーター」を配置する。
部活動の地域連携・移行にむけ、協議会を立ち上げて検討を行うとともに、モデル校において実証事業を行う。

板橋区 医療的ケアを要する児童生徒の受け入れ体制構築
板橋区の坂本健区長は1月30日、令和5年度の当初予算案を発表した。
今年4月より、区立幼稚園、区立小・中学校、放課後対策事業に医療的ケアを必要とする児童・生徒を受け入れる体制を構築する。
問題を抱える児童・生徒を支援するため、学校における居場所推進事業を拡充するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員する。

足立区 区立中学校の給食費を無償化
足立区の近藤やよい区長は1月31日、記者会見において令和5年度当初予算案を発表した。
小・中学校の給食費の物価高騰分を公費負担する。また、区立中学校、私立幼稚園・私立認定こども園の給食費無償化を実施する。
都の「高校生等奨学給付金」の支給対象外になる低所得の課税世帯に対し、支援金を支給する。

渋谷区 部活動地域移行を推進
渋谷区は2月6日、当初予算案を発表した。
部活動改革のため設立された「一般社団法人渋谷ユナイテッド」との連携に2億800万円の予算を投じる。地域移行に部活動の地域移行を推進するため、2校のモデル校を設置するほか、民間クラブ等との連携を行う。また、部活動の対象を中学生に限らず区民に拡大した「総合型地域クラブ」への発展を目指す。
さらに、1億9900万円の予算を投じ、令和5年度から区内のパトロール事業を実施する。青色防犯灯付きパトロール車および徒歩でのパトロールを行い、児童の登下校時の安全確保や特殊詐欺対策、犯罪の防止を行う。
学校施設の建て替え計画「未来の学校プロジェクト」に8億7900万円を投じる。今年度は青山病院仮設校舎の工事施行が開始される予定のほか、区立小中学校等の建て替えの基本設定・基本計画が行われる予定だ。

荒川区 区立小中学校の給食無償化へ
荒川区は2月7日、令和5年度当初予算案をプレス発表した。
区立小中学校の給食を無償化し、物価高騰による保護者負担の軽減を図る。予算は7億5383万円を投じる。
また、荒川区立幼稚園8園において、お弁当形式による給食を開始する。給食費は区が負担する。従来はお弁当を保護者が持参していたが、給食の開始により、保護者の家事面および経済面における負担を軽減させる。

葛飾区 小中学校の給食費を無償化
葛飾区は2月7日、予算案を公表した。
昨年9月に発表された小中学校の給食費完全無償化が、再度予算案によって示された。予算は14億1800万円を投じる。
また、保育所等の指導検査体制の強化、ヤングケアラーに関する啓発や支援団体への運営費助成なども盛り込まれた。

中央区 区立小中学校等の給食費無償化
中央区は2月7日、令和五年度予算案を公開した。
物価高騰などによる保護者の負担を軽減するため、令和5年度4月分から、区立小・中学校の給食費や保育所などの副食費が無償化される。
また、子ども医療費助成の対象が、所得制限を設けず、高校生世代まで拡大される。
また、母子・父子家庭の養育費の確保に向けた支援として、公正証書等の作成や、ADR(裁判外紛争解決手続)の利用を支援する制度を創設する。

台東区 給食食材調達経費を支援
台東区は2月10日、予算案をプレス発表した。
台東区においても、医療費助成が高校生等まで拡大される。所得制限は設けない。予算額は8億4,767万円。
また、物価高が続いていることから、令和5年1月から当面の間、区内小・中学校の給食食材の調達経費を支援し保護者負担をなしとした。また、保育所等においても、給食費の支援対象に、年収680万円以上世帯(3歳児~5歳児)を追加した。
また、令和5年1月より、医療的ケアを必要とする児童・生徒の区立学校での支援を開始した。

大田区 所得制限なしの高校生医療費助成実施
大田区は2月8日、予算案を公開した。
子ども医療費の助成対象が、高校生まで拡大される。また、保護者の所得制限は設けない。
また、妊婦・子育て家庭に向けた妊娠期からの伴走型相談支援や、産後の家事・育児の援助を実施する。

世田谷区 区立小中学校の給食費無償化
世田谷区の保坂展人区長は2月9日、記者会見において、令和五年度予算案を発表した。
令和5年度の区立小・中学校の給食費を区が全額公費負担し、無償化する。予算は2,659,279千円を用いる。令和6年度以降の継続については改めて検討する。
不登校児童・生徒に対し、オンラインでの学習支援や居場所支援を行う。

北区 区立小中学校の給食費無償化
北区は2月9日、令和5年度の予算を公開した。
北区の区立小・中学校において、令和5年4月より、所得にかかわらず、給食費を完全に無償化する。
また、所得制限を設けず、医療費助成の対象を高校生等まで拡大する。

新宿区 令和6年度小中学校新一年生に祝金支給
新宿区は2月13日、令和5年度予算案の発表を行なった。
令和6年度の新小学1年生および新中学1年生に対し、祝金を給付する。予算は407,097000円。新小学1年生には1人5万円、新中学1年生には1人10万円が給付される。
また、令和5年度から、民間提案制度を活用して、部活動業務の一部を民間に委託する。

練馬区 子ども相談アプリを導入
練馬区は2月11日、当初予算案を発表した。子どもがいつでも相談できる「(仮称)子ども相談アプリ」を導入する。また、ヤングケアラーの支援体制や医療的ケア児の相談支援体制を整備する。


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