20211130_町田市役所_07_平松けんじ撮影
町田市役所
2020年に東京・町田の市立町田第五小学校に通う小学6年生の女児がいじめを訴える遺書を残して自死した問題をめぐって再調査を進めていた町田市の第三者委員会は21日、複数のいじめを認定した一方で自死の原因を特定できないとする報告書を石阪丈一・町田市長に答申した。


報告書では、友人関係を解消すると通告する「ドッキリ」、チャットでの「うざい」「死んでほしい」と悪口など複数の行為をいじめと認定。一方で、因果関係については、学校も一因としながらも「(自死の)原因は複合的なもので特定できない」と結論付けた。

学校の対応「不十分」「問題」指摘相次ぐ
また報告書では、学校が調査や遺族への対応の中で、2020年10月以降のいじめや、自死との因果関係を否定し続けた姿勢を「不十分だといわざるをえない」と批判し、「全児童のタブレット端末のパスワードを共通とし、そのリスクへの対応が十分ではなかったことは問題だ」と指摘し、五十嵐俊子校長(当時)=現・渋谷区教育長=ら学校側の対応を問題視した。

遺族コメント「調査が不十分・不完全」
遺族は21日、「遺族が提供した児童の証言音声が確認されず、調査が不十分・不完全」「記載すべき事項が記載されず、事実とは違う(自死した)女児や遺族を貶める記述がばかりが盛り込まれており、不信感を抱いている」「真実を明らかにしてほしい」とコメントしている。

自死した女児は遺書の中で同級生の名を挙げ、自死の主たる原因だと記していたが、報告書では学校や家庭での適切な対応により自死を防げた可能性に言及されており、家庭の責任も強調する記述となっていた。

五十嵐俊子校長(当時)の責任は重大
事件発生から3年以上が経過し、第三者委員会は40回以上も会合を開きながら、結局「原因を特定できず」と結論付け、家庭にも責任を擦り付けるような報告書を答申した。いじめ自死事件では「原因不明」と結論付ける調査報告が多くみられるが、あまりにも亡くなったこどもの訴えを無視している。まさに「死人に口なし」とでも言っているようなものだ。これではあまりにも浮かばれない。

町田市の事件でも女児は遺書の中で同級生の名を挙げ、自死の主たる原因だとしている。にもかかわらず第三者委員会は遺書の内容を軽視した結論を出した。

第三者委員会の委員長は調査報告書の公表にあたって責任追及が目的ではないことを強調していたが、責任を問われないとすれば同じことをする輩は続くだろう。五十嵐校長(当時)が2020年10月以降のいじめ、自死との因果関係を否定し続けた行為は、いじめの隠蔽だと言わざるを得ない。ICT端末の管理の不備の責任も含め、五十嵐氏の責任は重大だ。

にもかかわらず五十嵐氏は事件の翌年4月、渋谷区教育委員会教育長に就任。長谷部健渋谷区長が事件を知りながら五十嵐氏を任命した。長谷部区長は2022年1月、「校長として当時の対応に問題はなかった」「いじめ隠蔽との指摘は当たらない」などとしていたが、報告書でも学校の対応の問題点が指摘された。当然、任命責任は免れない。(編集部)

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