横浜市教育委員会が、横浜市立学校教員による児童生徒へのわいせつ事件の公判に職員を動員し、一般人の傍聴を妨げていたことが判明した。
市教委によると、2019年度以降に行われた同事件を含む4件の裁判で計11回職員を動員。1回あたり最大50名、のべ400名程度が動員されていた。職員の動員は、鯉渕信也教育長(当時)の了承の下、学校教育事務所長が各部署に要請。動員された職員には出張旅費が支払われるなど組織ぐるみで傍聴席を埋めていたことが明らかになった。
市教委は被害者支援団体から「性犯罪傍聴マニアの傍聴を狭めたいという狙いもある」などと記された要請文を受けての対応だと主張しているが、この事件の裁判では、被害者や被告の名前を非公開にするなど被害者の特定につながる情報を伏せる対応がとられていた。
傍聴妨害は先月7日、外部からの問い合わせで発覚。市教委は先月20日付で今後は職員を動員しないことを関係部署に通知した。市教委は6月中をめどに、複数の弁護士を入れた第三者検証チームを立ち上げ、検証を進める。
議会でも厳しい批判 教育長陳謝
4月に就任したばかりの下田康晴教育長は先月22日の市会こども青少年・教育委員会で「一般の方の傍聴する機会を損なうことになった。これはあってはならないことであり行き過ぎた行為であるということで大変申し訳なく思っている」と陳謝。さらに下田教育長は、議員から憲法第82条の裁判公開の原則について問われ、「(憲法第82条に)抵触していると思う」と述べた。
下田教育長は先月15日に職員動員の事実を知り、直ちに中止を命じたという。
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