横浜市立学校で、生徒がいじめを苦に相次ぎ自殺していたことが判明した。また2020年3月の事件では市教委によるいじめ隠蔽が発覚し、市民から厳しい批判を浴びている。
2020年3月、中2女子生徒がいじめを苦に自殺
2020年3月に横浜市の中学二年生の女子生徒がいじめを苦に自殺していたことが今年3月、判明。女子生徒は遺書で同級生からのいじめを理由に自殺したことを記していた。
事件の調査を行った第三者委員会は3月8日、調査報告書を発表し、「いじめが自殺の要因であると評価し、いじめと自殺との事実的因果関係を認めるべき」と因果関係を認定した。そのうえで学校の対応についても、▽いじめの認知が行われなかったこと ▽事実確認の方法・内容が極めて不十分 ▽女子生徒本人から直接、事実や気持ちを確認しなかったこと ▽自殺後の生徒への聴取が不十分であったことなどと批判した。
市教委が学校の報告書から「いじめ」の文言を削除するように指示 いじめ隠蔽か
さらに第三者委員会の調査で、当該学校を管轄していた市教育委員会の学校教育事務所が、学校に対し調査報告書から「いじめ」の記述を削除するよう指示していたことが発覚。市教委事務局もこれを是正しなかった。
第三者委員会は報告書の中で、学校教育事務所の対応を「基本調査の目的を逸脱し、誤っているというほかない」と厳しく批判。市教委事務局の対応も「誠に残念」と記した。
過去10年で41名の児童・生徒が自殺
市教委によると、横浜市では過去10年で児童生徒が自殺に至ったケースは41件。うち38件は学校による基本調査にとどまり、詳細調査が行われたのは3件のみ。市教委は事態を受け、神奈川県弁護士会子どもの権利委員会に所属する弁護士
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名で構成された「点検チーム」を編成。基本調査しか行われなかった38件について再調査を開始した。すでに38件中1件は5月時点で第三者委員会による詳細調査に移行しており、現在は残る37件について再検証を進めている。
2022年 同じ学校で2人が相次いで自殺 うち1件は「重大事態」
更に、2022年度に横浜市の同じ学校に通う生徒2名が相次いで自殺していたことが判明した。亡くなった生徒のうち1人は専門家による「詳細調査」が行われているが、もう1人は遺族からいじめの訴えがあったにも関わらず、「遺族の意向が確認できなかった」として、学校による「基本調査」にとどまっていた。文部科学省は4月末、同事案がいじめ防止対策推進法で定める「重大事態」であるとして、速やかに調査を開始するよう市教委に対し指導・助言した。市教委は現在、同事案について「重大事態」として調査する準備を行っている。
横浜市教委の隠蔽体質が露見 当時の教育長は退職
横浜市教育委員会の隠蔽体質が次々と明らかになっているが、当時の鯉渕信也教育長は任期満了により、3月末に退職金約400万円を受け取り退任。鯉渕氏は責任を取らず、処分も受けず、逃げ切るように退職した。
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