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2025年に開催される大阪・関西万博への子ども無料招待事業をめぐり、保護者や自治体から不安の声が上がっている。



 
府では府内の4歳から17歳までの子ども102万人を対象に万博への無料招待を計画。府内の小中高校に通う子どもたちは「家庭環境にかかわらず多くの子どもに行ってもらうため」(府教育庁)として、原則として学校単位での招待としている。

府教育庁が4月中旬から5月末までに行った意向調査に対し、7月時点で参加を「希望する」と答えた学校が1526校、「未定・検討中」と答えた学校が275校、「希望しない」と答えた学校が40校となっているという。

意向調査に「参加しない」という選択肢なく
しかし府が学校に対し行った意向調査をめぐり「参加しない」という選択肢が存在せず、「希望する」「未定・検討中」の2つしか選択できないようになっていたことから、「学徒動員、参加の強要」だという批判の声が上がっている。

交野市の山本景市長は「『参加しない』が選択肢にない意向調査なんて踏み絵だ」と批判。同市は万博の学校単位での参加を見送ったた。

さらに府教育庁は、意向調査終了後に回答が不明瞭だった学校や未回答の学校に個別に連絡し意向を確認。これらの学校はやり取りの中で不参加を表明した。

府教育庁は、児童らの来場日程や来場方法を調整するため、最大来場者数を把握するために意向調査を実施したと説明していますが、「参加しない」選択肢を用意していない意向調査で参加希望を表明しないと府から個別に連絡が来るというのはまさに「圧力」と言われても仕方がない。

会場で爆発事故 アクセス手段も大混雑か
万博をめぐっては、様々な問題点が指摘されている。
3月には会場で爆発事故が発生。また、会場のアクセス手段も問題になっている。万博会場の主なアクセス手段は▽貸切バス、▽大阪メトロ中央線、▽主要駅発のシャトルバスの3つのみ。
貸切バスは運転手不足や価格の高騰により確保が困難とみられ、公共交通機関を利用する場合でも、大阪メトロ中央線は通勤時間帯に最大140%の混雑が予想されており、児童生徒の安全の確保や満員電車の中での児童生徒の引率を不安に思う声も上がっている。

府教育庁は本紙の取材に対し、「いろんな声を頂いているので、一応万博協会に伝えている」「伝えたうえで検討してくださいねっていうことは言っている」「答えが示されてきたら迅速に学校現場に伝えていく」と述べた。

「オリパラ学校連携観戦」の再来
こうした国家的事業への児童生徒の「動員」は直近の2021年東京オリンピック・パラリンピックでも行われた。当時、新型コロナ感染者数が急増し、複数の教育委員からも反対意見が出る中、藤田裕司都教育長(当時)が委員らの意見を無視して学校単位でパラリンピックを観戦させる事業を強行した。

また、大会開催前の2018年12月、都立高校の教員が自らのクラスの生徒全員に大会ボランティアへの応募を強制する発言をし、「学徒動員ではないか」と波紋を広げたほか、都立青山高校でもパラリンピック期間中に「学校行事としてのボランティア」を計画していたことが発覚。都を挙げて子どもたちの自由意思を無視した「動員」事業が行われてきた。

今回の大阪万博でも意向調査に「参加しない」選択肢がないなど、まさに東京都で行われてきた「学校単位での生徒動員」の再来ともいえる状況となっている。すべての子どもたちに体験の機会として招待事業を展開するのであれば、全員参加を強制される学校行事ではなく、一人一人の子ども、そして保護者が自由に参加を選べるやり方をとるべきだ。子どもの意思を無視した動員はあってはならない。
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